The Descent ディセント

ヨーロッパで大ヒットした2005年制作の英国ホラー「The Descent」が先週末公開された。ボックスオフィスの成績は「パイレーツ・オブ・カリビアン」「マイアミ・バイス」に次ぐ5位で、外国製ホラーとしては悪くない。「エイリアン」以来一番恐いホラー・スリラー映画、という宣伝文句だ。

恐さと驚きで、座席からぴょんぴょん跳ねてた。
ぴょんぴょん率高し。

恐さが笑いと紙一重という感覚は、ゴアな場面で感じられるが、「死霊のはらわた」のようにシュールで抱腹絶倒の笑いにまでは昇華していない。

ロメロのゾンビ映画に見られるような社会風刺もない。

が、低予算CGなしで、ほぼ最後までノンストップ・ローラーコースター状態で最大限にスリルを経験させてくれる。条件反射的な驚きに頼りすぎのカットが繰り返されるので、恐怖、と言い切ってしまっていいのかは疑問だが。

自動車事故で夫と幼い娘をなくしたサラのために、女友達がロッククライミング旅行を提案、女6人がアパラチア山脈に集合する。山小屋の前で仲良く写真を撮り、楽しい冒険に出発するが、待ちかまえていたのは、究極のサバイバル・ゲームだった。。。

最初30分ほどは基本的に何も起こらない。が、地底深くに広がる洞窟、という閉塞的な状況が心の中に生み出す恐怖が良く描かれている。心の傷がいえないサラが、一番パニックに陥りやすい、というのも自然だ。が、女全員の個性が描ききれてはいないので、誰が死んでもあまり大差ない。感情移入の余地こそないが、休みない驚きと恐怖で観客を引っ張る。最後はさすがに多少息切れの感があるが、それまでは勢いの衰えない直球で、殺すか殺されるかのサバイバルを緊張感たっぷりに描いている。

閉塞的状況の死闘は「エイリアン」を、劣等感や心の傷をばねにしての心の爆発は「キャリー」を思わせ、地底深い洞窟は心の闇を表現する効果的な舞台となっている。ファンタジー的要素を含む「エイリアン」よりはるかに単純で、もう一度見たい、と思わせるほど味わい深くはないが、腸に来る直接的な恐怖は十分味わえる。ニール・マーシャル監督のデビュー作である前作「ドッグ・ソルジャー」より無駄がなく、緊張感が続き、イギリス英語もはるかに分かりやすくなっている。