2009-01-01から1年間の記事一覧

クリスマス@Bergdorf Goodman

NY

8月末以来、翻訳の仕事でピッツバーグのG20サミットに行き、40歳の誕生パーティーを兼ねた初の絵の展覧会を自宅で開くなど公私共に忙しく、更新できない内に年末になってしまった。ここ数年来、5番街の老舗高級デパート、バーグドルフ・グッドマンのホリデ…

The Cove ザ・コーヴ

和歌山県の太地町の入り江(コーヴ)で秘密裏に行われているイルカ漁を告発した、「不都合な真実」と「オーシャンズ11」が合わさったようなエコ・ドキュメンタリーである。クジラやイルカの保護団体であるOPS(海洋資源保護協会)が製作した、感情と理屈の両…

In the Loop

2003年にイラク戦争に至るまでの、米英の政府高官とその下で働くスタッフの姿を描くコメディである。イギリスの大臣がBBCラジオで失言を行い、戦争を始めたがっている米英の首脳と、戦争に反対する各政府内の勢力の両方が、その失言を利用して、お互いを欺き…

Cold Souls

自分自身を演じる役者(ポール・ジアマッティ)が、役作りのスランプを解消するために、悩める魂を取り出して保管するサービスを利用するという、「マルコヴィッチの穴」と「エターナル・サンシャイン」「Synecdoche, New York」を合わせたようなチャーリー…

The Hurt Lockerハート・ロッカー

米軍爆弾処理班のバグダッドでの活動を描き、イラク戦争についての最高の劇映画という高い評価を受けている、キャスリーン・ビグロー監督作品。爆弾を解除するエンジニアが吹き飛ばされ、新しい技術者がやってくる。800回以上も爆弾を処理したジェームズ(ジ…

Harry Potter and the Half-Blood Princeハリー・ポッターと謎のプリンス

ハリー・ポッターも6作目になり、子供たちは性ホルモンに悩まされるようになる。長すぎる原作はうまく編集されてテンポがよくなっているものの、大人にはうざったいだけのティーンの色恋沙汰が多すぎる(ハリーが恋するようになるジニーは、原作ではモテモテ…

Pride and Prejudice and Zombies

ジェーン・オースティンの恋愛小説「高慢と偏見」とゾンビ物を融合したマッシュアップ小説。ニューヨークタイムズのベストセラー・リストには17週間ランクイン入りし、アマゾンでは一時在庫がなくなるほどだった。ベネット姉妹は結婚相手を探しつつも、少林…

Brunoブルーノ

「ボラット」に次ぐサシャ・バロン・コーエンの主演作品「ブルーノ」は、「ボラット」ほど独創的ではないものの、「ボラット」以来最もおかしな映画だ。ブルーノはゲイのファッションレポーターで、オーストリアからアメリカに名声を求めてやってきた。過激…

Herb and Dorothyハーブとドロシー

1960年代初めから4千点以上のモダンアートを収集してきた、ハーブとドロシーのボーゲル夫妻を描いた、佐々木芽生(めぐみ)監督によるドキュメンタリー映画「Herb and Dorothy」がニューヨークで公開中だ。ボーゲル夫妻はNY美術界で最も有名な収集家の一…

空中公園ハイライン

NY

NYの新名所となりつつあるハイライン(The High Line)は、廃線となった高架鉄道を公園にする都市再開発プロジェクトである。ミートパッキング地区からチェルシーまでの部分が6月にオープンした。線路跡を残したデザインで、草花もそれに合わせて野趣がある…

最近描いた絵

去年の12月から始めたアクリル画がまだ続いている。相変わらず、映画から着想を得ることが多い。四角が4つ並んでいるのは、「The Panic in Needle Park」に出てくる70年代NYのダイナーの壁の色で、ピンク系はそのバリエーション。カラスはダリオ・アルジェン…

ベティ・ブープ@Movie Palace

1929年に建てられたニュージャージーの映画館Loew's Jersey Theatreで6日、ベティ・ブープやルーニー・チューンズなど往年のアニメ短編映画がまとめて上映された。一生に何度あるかという位の素敵な「映画に出かける」体験だった。 歴史的建造物である、この…

アマート・オペラ、60年の歴史に幕

60年もの間、手作りのオペラをNYで上演してきたアマート・オペラが5月31日、「フィガロの結婚」で幕を閉じた。メトロポリタン・オペラのような世界的な知名度も規模もないが、ニューヨーカーに長年愛され、多数の若手を育ててきたカンパニーだ。イーストビレ…

Star Trekスター・トレック

私はトレッキーではないが、スタートレックの新作はすごく面白かった。マンハッタンのど真ん中にあるジーグフェルド劇場での、5月7日7時の初回に先立つ数週間、私はうきうきしていた。映画そのものよりも、アメリカ文化の重要イベントに参加することに。もち…

Gomorrahゴモラ

ナポリを拠点とし、シチリア・マフィアほど知られてはいないが、収入は年2500億ドルとも言われる、イタリア最大の犯罪組織カモッラが、いかにナポリ市民の日常生活だけでなく世界と結びついているかを事実に基づいて描く。ロベルト・サヴィアーノによる同名…

12(「12人の怒れる男」)

シドニー・ルメットの名作「十二人の怒れる男」を現代のロシアに舞台を置き換えてリメイクした「12(邦題:12人の怒れる男」)は、オリジナルに遠く及ばない。12人の陪審員が、養父殺し容疑に対し評決を下そうとしている。最初は全員一致で有罪間違いなしの…

Katynカチン 

第二次世界大戦中にソ連がポーランド将校らを大量虐殺し、その後半世紀も黙殺された「カチンの森事件」を描いたアンジェイ・ワイダ監督の「カチン」は生きてて良かった、この作品世界の中に生きていなくて良かったと、震えるように思わせてくれる稀な作品だ…

重い社会派映画を三作。

Watchmenウォッチメン

3月6日に公開されてからすぐに見たのに、忙しくてアップデートが延び延びになってしまった。 タイム誌の世界文学ベスト100リスト中、唯一グラフィックノベルとして選ばれた「ウォッチメン」が、「300」のザック・スナイダー監督により初めて映画化された。目…

Forbidden Broadway Goes to Rehab

ブロードウェイ作品を長年パロディーしてきたオフ・ブロードウェイのレビュー「フォービドゥン・ブロードウェイ」が3月1日で27年の歴史を閉じる。最後の週の舞台は10年ほど前に見たときより、さすがに気合が入っていて、死ぬほど笑わせてくれた。と同時に、…

初めてのアクリル画

去年の12月からアクリル画を始めた。近所の美術館New MuseumでMary Heilmannという人の絵を見たのがきっかけだ。明るくきれいな色使いでシンプルな形を重ねただけの絵に感心はしなかったが、これなら自分でも描けるなと思った。パンクミュージックを聴いた時…

オバマ大統領就任

2009年1月20日、オバマが大統領に就任した。 マーティン・ルーサー・キング・ジュニアの記念日でもある19日に、近所のイーストビレッジにあるTheater for the New Cityでの就任を祝うイベントに参加した。 夜9時半ごろ会場に着いたが、3連休の最後の日だとい…

2008年ベスト

ロバート・ダウニーJr(アイアンマン)、ジャン=クロード・ヴァン・ダム(JCVD)、ミッキー・ローク(レスラー)と、主演スターと役柄が交錯する作品が目立った。 1.Man on Wire 世界貿易センタービルのツインタワーを綱渡りで8往復した男のドキュメンタリ…

Let the Right One In

ここ数十年のヴァンパイア物では最高作と言える、スウェーデンのティーン吸血鬼映画。同名のベストセラー小説からの映画化だが、やはり最近公開されて酷評の嵐だった「トワイライト」とは段違いで、ビレッジボイスなど有力紙多数が2008年のベスト10に選ぶなど…

Synecdoche, New York

「マルコヴィッチの穴」「アダプテーション」の脚本家チャーリー・カウフマンの初監督作である悲喜劇。 体の不調を常に訴え(中年に差し掛かった者には、より実感できる医者通いは痛いながらも笑ってしまう)、愛する者たちに去られ、死の影におびえながらも…

Man on Wire

Seeing is believing!!(百聞は一見に如かず) 1974年8月、ニューヨーク世界貿易センタービルのツインタワーを綱渡りで8往復したフランス人フィリップ・プティを描いた、ジェームス・マーシュ監督のドキュメンタリー。当時の映像及び、フィリップと彼の協力…

崖の上のポニョ

サンディエゴに住んでる6歳と4歳の甥っ子でも見向きもしないだろう幼さ。 何とか見終わってから、黙々とクリスマスツリーを片付けた。

Che Part1チェ 第一部

ベニチオ・デル・トロ主演、スティーブン・ソダーバーグ監督によるチェ・ゲバラの伝記映画。期待していたが、2時間あまりの作品(2部と合わせて計4時間以上)の内、1時間ほどたってもチェの人間像も物語も見えてこず、眠ってしまった。

Valkyrie ワルキューレ

トム・クルーズが、ヒトラー暗殺及びクーデターを企てたナチス将校を演じる。ブライアン・シンガー監督。歴史に基づいた面白い題材なのに、暗殺を実行するまでの準備がちっともスリリングでない。ケネス・ブラナーやテレンス・スタンプらが、暗殺計画に加担…

Slumdog Millionaire

インド版「Who Wants to Be a Millionaire?」に解答者として出演しているスラム出身の青年が、問題の答えを過去の経験から導く様子を、フラッシュバックを繰り返して描くアイデアは新鮮。イギリスとインドの混合スタッフが、インドの歴史や風土と、世界各国で…