The Hurt Lockerハート・ロッカー


米軍爆弾処理班のバグダッドでの活動を描き、イラク戦争についての最高の劇映画という高い評価を受けている、キャスリーン・ビグロー監督作品。爆弾を解除するエンジニアが吹き飛ばされ、新しい技術者がやってくる。800回以上も爆弾を処理したジェームズ(ジェレミー・レナー)は、彼のために援護を行うチームの心配と苛立ちもお構いなしの、怖いもの知らずだ。無学で粗暴な田舎の白人の典型のように見える彼は、無事に帰還するために規則通り行動しようとする黒人の同僚と対立するが、キャンプに海賊版DVDを売りに来るイラク人の子供を可愛がったりもする。「妻はそう思ってないが離婚した」とチームに語る、一児の父である彼にとって、郊外での家族生活という日常は困惑をもたらす。一方、戦争は刺激的であり、また、その刺激が薄れても止めることのできない麻薬である。
感動作というほど描きこまれてはいないが、実力と爆弾テロリストの狂気を備え持つ、ただの怖いもの知らずではないジェームズのキャラクターが魅力的で、複雑な感情をさらっと描く、こういう微妙さもありかなと思う。なんと言っても爆弾処理の場面がスリリング。ジェームズのはた迷惑で無謀なヒロイズムがきっかけになり、爆弾処理が始まるパターンが多く、もう少しバリエーションがほしかったが、いったんアクションが始まると、爆発してしまわないかとドキドキする。