2008-01-01から1年間の記事一覧

Frost/Nixon

ウォーターゲート事件で失脚してから3年後のニクソンの、デビッド・フロストによる有名なTVインタビューとその内幕を再現した作品。ウエストエンドとブロードウェイで上演されたストレート・プレイの映画化であり、ニクソン役フランク・ランジェラ、フロス…

GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊2.0

新しく挿入されたCG場面が、オリジナル場面から別の作品のように浮き上がっている。ヒロイン草薙素子のダイビング場面など、CGによって無個性になってしまっており、今年公開とは思えないほどの不器用さだ。 オリジナルをクリーンアップして、コントラストや…

Vicky Cristina Barcelona

ウディ・アレン最新作。 親友同士であるヴィッキー(レベッカ・ホール)とクリスティーナ(スカーレット・ヨハンソン)のバルセロナでの夏のロマンスを描くコメディ。二人と関係を持つ画家ハビエル・バルデムの前妻ペネロペ・クルスが登場するまでは「ウディ…

Cadillac Records

ドキュメンタリーとしては悪くない出来だが、映画としては今ひとつ。ブルースだけでなく、ロックの歴史に大きな影響を与えた伝説的なシカゴのレコード・レーベル、チェス・レコードの誕生と黄金時代が描かれる。ジェフリー・ライト(マディ・ウォーターズ)…

Zak and Miri Make a Porno

ケヴィン・スミスの最新作は、幼馴染でルームメイトの男女(セス・ローガンとエリザベス・バンクス)が貧乏窮まってポルノ制作に乗り出し、撮影が進む内に愛を見出していくというロマンチック・コメディ。ポルノ版スターウォーズなど笑える場面はいくつかあるも…

クリスマス@Bergdorf Goodman

NY

毎年写真を撮っている5番街の高級デパート、バーグドルフ・グッドマンのクリスマス・ウィンドウ。不景気のため高級店が軒並みに前倒しでセールを行い、普段より割引率も大きいが、このウィンドウの高級感と芸術度の高さは変わらない。 去年と一昨年の写真は…

JCVD その男 ヴァン・ダム

ジャン=クロード・ヴァン・ダム主演の「JCVD」を一言で説明するのは難しい。筋立ては「狼たちの午後」で、主題はミヒャエル・ハネケ、手法は「パルプ・フィクション」、スターが自分自身を演じて映画制作の内幕を描くのは「イルマ・ヴェップ」とも共通しているが…

Quantum of Solace

007最新作。ダニエル・クレイグが初めてボンドを演じた前作「カジノ・ロワイヤル」より全然つまらない。無駄をそぎ落とした新ボンドの新鮮さは薄れ、代りに「ボーン」シリーズの下手な真似が目立つ。 「ボーン」同様に速いカットとアクションの連続だが、ア…

アップデート

音楽活動、仕事、オレゴン州ポートランドへの旅行などで忙しく、しばらく更新できなかった。新作映画は殆ど見ていないので、とりあえず音楽活動のアップデート。去年12月の日記(http://d.hatena.ne.jp/djmomo/20071227#1198731982)に書いた、初めての音楽…

Swoon-イーストリバーに浮かぶおもちゃの船

切り絵によるストリートアートでここ数年来注目を浴びている若手アーティストSwoonの展覧会に行ってきた。巨大なロフト空間を生かした大きなインスタレーションも良かったが、今回の目玉は、マンハッタンの高層ビルを背景にイーストリバーに浮かぶ、木や金属…

The Dark Knightダークナイト

役作りに悩まされ、若くして死んでしまったヒース・レジャーへの遠慮とマーケティングの都合上、批評家は誰も大声で言わないと思うが、これは彼が演じるジョーカーの映画でも、ましてやバットマンの映画でもなく、アーロン・エッカートの映画だ。凶暴で恐ろ…

Heavy Metal in Baghdad バグダッド・ヘヴィー・メタル

イラク唯一のメタルバンド、Acrassicaudaをフセイン政権崩壊後の2004年から2007年まで、バグダッドからシリア、トルコへと追っていく。「ジャッカス・ザ・ムービー」に政治的視点を取り入れたような、ブルックリンを拠点としたオルタナ雑誌「Vice」が作った…

実録 連合赤軍 あさま山荘への道程United Red Army

1972年のあさま山荘事件に至るまでの連合赤軍の成り立ちと軌跡を、ベトナム戦争や日米安保反対闘争など学生運動を取り巻く、60年代からの日本と世界の社会的背景の中で描いたドキュメンタリードラマである。 3時間10分を食い入るように見た。事実とフィクシ…

超人ハルク, ヘルボーイ2

The Incredible Hulk 超人ハルク アン・リーが監督した惨憺たる映画化一作目よりはましだが、題名に「Incredible(素晴らしい)」とつけるのは買いかぶりすぎだ。優秀な科学者が心の奥底のイドをコントロールできずに、緑の怪人になってしまう物語は、ストレ…

レトロなビーチ、ワイルドウッド

4日の独立記念日に夫と義理の家族とで、ニュージャージーのリゾート地を訪れた。NY近郊にあるカジノとして人気のリゾート地アトランティックシティから車で南に1時間ほど行ったところに、100年以上も歴史のあるビーチリゾートのワイルドウッドがある。アトラ…

© MURAKAMI@Brooklyn Museum

村上隆は思っていたよりウォーホールに近かった。 ブルックリン美術館で開催中の展覧会に行った。彼の作品を実際に見るのは初めてだったが、他のアートワーク同様に、印刷物やネット上と本物とでは違う。 お花の部屋が一番気に入った。壁まで全部花で埋め尽…

仲代達矢@Film Forum

日本映画、特にその黄金期の歴史そのものである仲代達矢の回顧上映が、NYを代表する映画館Film Forumで6月20日から行われている(8月7日まで)。上映作品は25作で、小林正樹監督の「切腹」で幕を開け、同監督の「人間の條件」で終わる、黒澤・成瀬・岡本ら日本を…

Kung Fu Pandaカンフー・パンダ

ドリームワークスの最新作は、カンフー・マスターを目指すパンダをジャック・ブラックが演じるお子様向けのエンターテイメントだが、大人には物足りない。極悪なカンフー戦士タイ・ランが脱獄し、平和な谷の住人を脅かす。カンフーおたくだが、実際に戦うには…

Indiana Jones and the Kingdom of the Crystal Skullインディ・ジョーンズ クリスタル・スカルの王国

インディ4作目はそこそこ楽しめたが、わざわざ作らなくても良かったというのが正直な感想。ハリソン・フォードは大アクション映画には年とり過ぎで、映画俳優でない普通の元気な65歳に見えた。考古学教授としての後姿は、老いの中にも冒険者の面影が欲しいと…

Harold & Kumar Escape from Guantanamo Bay

カルト的人気を博した2004年のコメディ「Harold & Kumar Go to White Castle」の続編が4月25日から公開中だ。前作は、ニュージャージーに住むルームメイト二人が、金曜夜にマリファナでハイになってから、ハンバーガーを食べに行くだけの話だが、ついに食欲…

Forgetting Sarah Marshall

「Forgetting Sarah Marshall」は、ここ数年ハリウッドを席巻しているジャド・アパトウ(「40歳の童貞男」)制作によるセックスコメディの最新作で、4月18日からの公開。おたく男と美人のありえない組み合わせは、アパトウ制作の去年の傑作「Knocked Up」と同じ…

アイアンマンIron Man

ロバート・ダウニーJr主演のスーパーヒーロー映画「アイアンマン」が5月2日に公開された。1週目の興行成績は約1億ドルと大ヒット、2週連続で第一位となり、夏の大作映画興行は好調にスタート。麻薬問題でキャリアが中断していた演技派ダウニーJrの、完璧な…

内田吐夢&仁義なき戦い

BAMで4月11−30日まで開催中の内田吐夢特集の封切作品は「浪花の恋の物語」。大阪商人と京都芸者の古くゆかしい言葉、浪花の廓風景に満開の桜、ああ日本の春だねえ。通常の名画座より大きいワイドスクリーンにどーんと飛び出る東映の三角マーク、はなっからわ…

賭博者,幽霊,銀行強盗

The Homecoming 帰郷 ブロードウェイで再演中の舞台。ハロルド・ピンター作でブロードウェイ初演は1967年。ピーター・ホールが演出した1973年のビデオが鳥肌立つほど良く、この再演も好評なので見に行った。悪くないが、出演者全員のロンドンなまりが本物でな…

Funny Games オリジナル & リメイク

マイケル・ハネケ監督が1997年に撮った「ファニーゲーム」は好き嫌いが両極端に分かれる作品だが、私にとってはサイコホラー映画のオールタイムNo.1だ。別荘に遊びにきた裕福な家族を異常人格の殺人者二人組が襲う設定は「ケープ・フィアー」に似ているが、映…

東映ピンキーバイオレンス、ロマンポルノ、ソンドハイム舞台

妖艶毒婦伝・人斬りお勝 宮園純子演じるお勝の復讐物語で一作目と似ているが、この中川信夫監督の二作目のほうがキャッチー。東映ピンキーバイオレンス物の先駆けだが、内容的には任侠物に近く、ショウ・ブラザーズのカンフー物にも似た物語だが、残酷度はこ…

ルメット特集/殺人事件

独立系新作も上演する名画座Film Forumで、2月いっぱい開催されたシドニー・ルメット特集で「12 Angry Men(十二人の怒れる男)」と「Fail-Safe(未知への飛行)」の二本立てと、「Dog Day Afternoon(狼たちの午後)」を見た。ルメットのトークもあったが見逃…

ShowBusiness : The Road to Broadway

2004年のトニー賞候補になった新作ブロードウェイ・ミュージカル4作品の内幕を、オープン前からトニー賞まで追った、ブロードウェイに興味がある人はもちろん、そうでない人でも面白く見られる(と思う)優れたドキュメンタリー。去年5月に限定公開された。大…

ダイアン・レイン、杉本美樹

Ladies and Gentlemen, The Fabulous Stains 女の子3人の架空のパンクバンド、ステインズの「成功と挫折、栄光」を描く、ダイアン・レイン主演作品。ビデオ/DVDリリースされたことがない、幻のカルト映画だ。セックスピストルズ解散後のスティーヴ・ジョーンズ…

お色気昭和歌謡、谷ナオミ、団鬼六

レアな音楽や映画をただでダウンロードするのに情熱を傾けている夫が、お色気昭和歌謡の名盤(再発)を入手した。以下は、これらのアルバムの時代に育ったが、リアルタイムで聞くには幼かった私の、個人的な感想。 麻里圭子「Girl Friend Baby Doll」:無邪気…