Indiana Jones and the Kingdom of the Crystal Skullインディ・ジョーンズ クリスタル・スカルの王国


インディ4作目はそこそこ楽しめたが、わざわざ作らなくても良かったというのが正直な感想。ハリソン・フォードは大アクション映画には年とり過ぎで、映画俳優でない普通の元気な65歳に見えた。考古学教授としての後姿は、老いの中にも冒険者の面影が欲しいところだが、すっかり老人の背中で、アクションに持っていくのに無理がある。ハリソン・フォードの最高作は若くてセクシーな時の「スター・ウォーズ」だと思うし、演技派中年でないからこそ「ブレードランナー」の狂言回し的レプリカントがはまり役だった。が、この年になると、ショーン・コネリーでないのがつらい。悪役のケイト・ブランシェットやインディの元恋人マリオン役カレン・アレンが登場すると画面に活力が出てくるが。親の世代は、彼の老いを自分たちの励みと見るか、わが身省みて落ち込むか、実家の親に聞いてみたいところだ。
アクションシーンは夏の大作映画としては合格点だが、インディを真似した後続の冒険映画をしのぐオリジナルとしてのインパクトには欠け、「アンジェリーナ・ジョリーの「トゥームレイダー」の方がよっぽど良い」とは夫の言。マリオンの息子役(「トランスフォーマー」のシャイア・ラブーフ)はインディを追い越そうとしつつも、この映画の時点ではまだ早いという存在として描かれ、次回作の存在を思わせるが、可もなく不可もなし。1957年という設定の他は、なぜ彼がバイクに乗った「The Wild One(乱暴者)」のマーロン・ブランドのイメージをコピーしているのかは不明。自分の資質とは異なるワイルドな男になりたいと思いつつ、不器用ながらもインディのような冒険者に成長していく過程を描いているからか?
19年ぶりのインディは当然大きな期待を集め、公開二日目(5月23日)マンハッタンのZiegfeld劇場にも長い列ができたが、満席の観客から一番大きかった拍手はオープニング・タイトルの時。エンドクレジットにはまばらな拍手で、ファンの期待を満足させる出来ではなかった。