本
自分の趣味にはちと良識的すぎるような気がして敬遠していた井上靖作品だけど、職場に文学全集があったので読んでみたらこれが面白いのよ。阪神間の上流家庭の恋愛のどろどろを端正に描いた初期の「猟銃」や、実の母のボケが進行していく様子を絶妙な距離感…
ブックオフの1ドルコーナーで岡本綺堂の「風俗江戸東京物語」を発見。へぇーと思ったことがいくつかあったので書き留めておく。芝居などでは駕籠かきが旅人をゆすっているが、宿場から正式な駕籠を雇えば規定通りの賃金で運んでくれた。実際は、大名行列な…
ジェーン・オースティンの恋愛小説「高慢と偏見」とゾンビ物を融合したマッシュアップ小説。ニューヨークタイムズのベストセラー・リストには17週間ランクイン入りし、アマゾンでは一時在庫がなくなるほどだった。ベネット姉妹は結婚相手を探しつつも、少林…
The Homecoming 帰郷 ブロードウェイで再演中の舞台。ハロルド・ピンター作でブロードウェイ初演は1967年。ピーター・ホールが演出した1973年のビデオが鳥肌立つほど良く、この再演も好評なので見に行った。悪くないが、出演者全員のロンドンなまりが本物でな…
レアな音楽や映画をただでダウンロードするのに情熱を傾けている夫が、お色気昭和歌謡の名盤(再発)を入手した。以下は、これらのアルバムの時代に育ったが、リアルタイムで聞くには幼かった私の、個人的な感想。 麻里圭子「Girl Friend Baby Doll」:無邪気…
ハリー・ポッター最終巻が7月21日に発売されてから、759ページを2日半で読みきったが、すぐには感想がまとまらなかった。山場にさしかかったら止められず、朝日を迎えながら読み終えた。完璧ではないが、長いシリーズの終わりにふさわしい、期待を裏切らな…
American Hardcore レーガン就任から二期当選までと重なる、80年代前半のアメリカのハードコア・パンクの盛衰を描く。ドキュメンタリー映画としての出来はいまいちだが、自分なりにハードコアを考える材料としては興味深い。ライブビデオの中でとりわけ際立…
4月中旬から失業中だが、毎日ビデオを見るのに忙しく、まったく退屈しない。朝きちんと起きて、鉢植えのパンジーやバジルの手入れをし、ヨガ、映画を日に2-3本見て、本も読み、家事をするだけで、一日が充実して過ぎていく。週末は音楽活動や友人と会ったり…
最近、マルクス兄弟に凝っているので、彼らの自叙伝を読んでみた。普通の自叙伝としては、ハーポの“Harpo Speaks”が断然面白い。彼らの映画のギャグに負けないほどおかしい、ハーポ自身とチコ、グルーチョらの兄弟、アルゴンキン・ホテルに集まった作家や評…
あけましておめでとうございます。年末年始はつきあいの他に、家で翻訳の仕事など案外忙しく、映画館には殆ど行けなかった。2日から仕事。クリスマスは夫と義理の母と、チャイナタウンに飲茶に行った以外は、静かに過ごす。鉄鍋で作ってみたミートローフと、…