Pride and Prejudice and Zombies


ジェーン・オースティンの恋愛小説「高慢と偏見」とゾンビ物を融合したマッシュアップ小説。ニューヨークタイムズのベストセラー・リストには17週間ランクイン入りし、アマゾンでは一時在庫がなくなるほどだった。ベネット姉妹は結婚相手を探しつつも、少林寺で修行したゾンビファイターであり、ダーシーは日本で武術を修行し、叔母キャサリンの家には忍者の一群が控えているという設定。85%がオースティンのテキストをそのまま使用し、残り15%でゾンビ恋愛小説としてつじつまを合わせているが、原作があまりにも完成されているので、その素晴らしさとウィットを損なっている。ジョークも、その犠牲に見合うほどはおかしくない。私は、「高慢と偏見」もゾンビ物も大好きなのだけど。9月に発売される次回作「Sense and Sensibility and Sea Monsters」では、オースティン率は6割になるそうだ。
ちなみに、”It is a truth universally acknowledged, that a single man in possession of a good fortune must be in want of a wife(独りもので、金があるといえば、あとはきっと細君をほしがっているにちがいない、というのが、世間一般のいわば公認真理といってもよい=中野好夫訳)”という有名な始まりは、”It is a truth universally acknowledged, that a zombie in possession of brains must be in want of more brains(脳みそを持っているゾンビは、もっと脳をほしいに違いない、というのが、世間一般のいわば公認真理といってもよい)”となっている。