Zak and Miri Make a Porno


ケヴィン・スミスの最新作は、幼馴染でルームメイトの男女(セス・ローガンとエリザベス・バンクス)が貧乏窮まってポルノ制作に乗り出し、撮影が進む内に愛を見出していくというロマンチック・コメディ。ポルノ版スターウォーズなど笑える場面はいくつかあるものの、彼らが撮影中の初セックスによって愛を発見してから後の展開は、おたくニートの教祖的存在であるスミスの限界なのか、ご都合主義全開の幼稚なファンタジーワールド。出演者が総当りでセックスするはずのポルノなのに、この二人は他の相手を拒否してしまうので、せっかくの興味深い設定が、体と心の一致と分離を描く上で活かしきれていない。ケヴィン・スミス作品は当たりはずれが激しいが、これは外れの方。「Knocked Up」などジャド・アパトウ制作映画により、おたく系ダメ男を演じる第一人者になったセス・ローガンが、おたくスラッカーを描く先駆者であるケヴィン・スミスの作品に主演するというのが売りだが、スミスがアパトウを真似したような仕上がりで、スミスのおたく的繊細さが発揮されていない。