超人ハルク, ヘルボーイ2

The Incredible Hulk 超人ハルク

アン・リーが監督した惨憺たる映画化一作目よりはましだが、題名に「Incredible(素晴らしい)」とつけるのは買いかぶりすぎだ。優秀な科学者が心の奥底のイドをコントロールできずに、緑の怪人になってしまう物語は、ストレスを抱えた現代人にとって共感できる可能性を秘めているはずなのに、エドワード・ノートンの演技をしても、他人事のようにしか思えない描き方だ。恋人役リヴ・タイラーは、ハルクとバランスを取るためか、やたらにデカい。彼女には似合わない事務員風のブラウスにスカートという衣装のせいもあってか、ヒロインとしての美しさに欠けている。ノートンの衣装も、世界中を逃げ回る役とはいえ、常にハイキング部みたいでセンス悪い。

Hellboy II: The Golden Army

ヘルボーイ」の続編は、「パンズ・ラビリンス」のギレルモ・デル・トロ監督ならではの素晴らしいeye candy(目の保養)だが、あまりにも密で過剰な映像が感情的な効果と味わいを弱めている。超自然的な生物たち、アクション、ユーモアどの部分をとっても不可はないが、全体として強い魅力には欠ける。小ぶりな一作目の方がチャーミングだった。