初めてのアクリル画


去年の12月からアクリル画を始めた。近所の美術館New MuseumでMary Heilmannという人の絵を見たのがきっかけだ。明るくきれいな色使いでシンプルな形を重ねただけの絵に感心はしなかったが、これなら自分でも描けるなと思った。パンクミュージックを聴いた時のように。アートと構えるのじゃなく、自分の家の壁を好きな色や形で飾れたら楽しいと思ったのだ。音楽も料理もクリスマツリーを飾ることも、友達の子供と遊びながらキーボードを弾くのも、全て生活の一部だから。
画材屋で初心者用セットを購入し、全くの独学で日曜画家を始めた。筆の手入れの仕方だけはネットで調べたが、後は自己流ならではの発見を楽しんでいる。絵を描くようになると新しい発見が沢山ある。絵画やグラフィティなどアート作品に限らず、至るところで色やデザインに敏感になる。むしろ、色違いのパネルのような工事現場の窓やジェット戦闘機のディテールなど、アート以外のものをアートとしてみるのが楽しい。もちろん映画はインスピレーションの宝庫で、特にカラフルな作品をDVDで見るときには、デジカメが欠かせないようになった。
以前絵を描いていた夫が、構図についてアドバイスをしてくれた。視線はエネルギーの流れる方向である左下から右上に行く。だから、基本的な自然な構図はそれにならったものだと。そう言われて、ゴッホの画集を見てみると、なるほどその通り。文字通り開眼した。
陽の光の大切さも、これまでになく感じるようになった。冬のニューヨークの昼は短いから、週末早起きするようになった。南仏や南の島に移住した画家の気持ちが分る。
これまでに描いた絵。大きさは長方形12.5X17.5、正方形が15X15センチ。
正方形の作品は、最近ポートランドで買った70年代のプラスチックなテーブルからデザインを拝借。派手ピンクのはゲインズブール映画の中のクロゼットのハンガーの色から、他の二つは60年代のデザインの本を見たりして、適当に組み合わせを試した。
トリコロールの作品は、テレンス・マリックの映画Days of Heavenの中の、列車の窓から着想を得た。唯一の具象は、同じ映画から。
やはり線を描いた縦長作品は、グラフィティ・アーティストを描いた映画Wild Styleに出てくる、クラブの壁の色からアイデアを得た。
出かけるたびにスケッチ用に沢山写真を撮るので、アイデアがまだまだ出てくる。週末が待ち遠しい。