P.S.1美術館

タンクトップで歩けるぐらい、天気のいい週末。やっと桜が満開になった。マルクス兄弟の映画を先週見たときのMOMAの半券で入場料がただになるので、クィーンズにあるP.S.1コンテンポラリー・アートセンターに行ってきた。学校を改造した現代美術専門のミュージアムで、NYで私が一番好きな美術館だ。MOMAにはたしかにすごい作品がそろっているが、すごすぎるし、人も多くて疲れる。P.S.1は、現在NYで活躍しているアーティストが中心で、30代の自分と同世代のアーティストも多い。触ったりできる体験型アートも多く、遊び心いっぱいで気軽に見られる(http://www.ps1.org/)。

中庭にある大きな金属と木の彫刻には、丸い板と鎖で作ったブランコがついていて、大人も子供ものっている。今日は、Not For Saleというアーティストが売らない作品を集めた展示と、アメリカ前衛映画のゴッドファーザーと呼ばれるジョナス・メカスの展示だけ見た。前者の展示から、気に入ったアーティストの名前を挙げておく。

アイスランド出身のKatrin Sigurdardottir (http://www.takesyou.to/katrin.sigurdardottir/)の作品は、はしごを天井近くまで上っていくと、小さな窓が開いていて、氷山が見える(写真参照)。夫と向かい合って登り、氷山の一部のように交互に頭を沈めたり浮き上がったりした。
Matthew Ritchie : 5枚組のドローイングで、ボードゲームの要素を取り入れている。

Sarah Sze : 写真参照。偏執狂的にオブジェを集めたこういう作品はかなり好きだ。他の人が写真をとっていたので、フラッシュなしだったら撮影可なのかと思ったら、やはり係員に注意された。彼は暇だったと見えて、夫の持っていたヘンドリックスの本に目をとめ、しばらく60年代ロック談義をしていた。
Luis Gispert : 70-80年代(?)のラジカセ(アメリカ製はとにかく大きい。黒人がかついでるようなの)を10台ほどぐるりと並べてある。
McKendree Key : スパイ映画に出てきそうな警備用レーザー光線のように張りめぐらされた蛍光黄色のファイバー糸(?)とその奥にあるリビングルーム

Jonas Mekasは前衛映画を後援してきた映像作家で、日記のように身の回りの出来事や人を記録してきたことでも知られる。40インチTV6台(?)と13インチTV16台(4x4)に、彼の膨大な作品群の一部が映し出されている。登場するのはウォーホール、ジャッキー・ケネディ、レノン&ヨーコ、ナム・ジュン・パイクらフラクサスのアーティスト、パティ・スミス、「ディパーテッド」の撮影風景など。ダリがホイップクリームをモデルに吹き付けたり、ロープでぐるぐる巻きにしたりするハプニング芸術は、内容はいかにもだが、ブログ的アプローチを先取りした対象への距離の近さが面白かった。

階段の壁にもアート。