グランド・マスター


ブルース・リーの師匠として知られるイップ・マンの生涯を描いたウォン・カーワイの新作「グランド・マスター」は息をのむ美しい映像の連続で、映画館で見る価値はある。トニー・レオンもいい感じに年を取っていて安心したが(吉田輝雄に雰囲気が似てきた) ドラマは映像ほど面白くなく、感情移入が難しい。脚本のせいもあるが、相手役のチャン・ツィイーマギー・チャンではないことを痛感。がんばっているし、スタイリッシュな映像のクローズアップにも耐え得るが、微妙な情感に欠け、レオンとの相性もやや不自然。剃刀を武器とする三つ揃いのスーツを着た武術家役でゲスト出演のチャン・チェンがゴージャス!ヴァレンティノみたいな無声映画の俳優の色気がある。