若作りと呼ばないで

ニューヨーク誌が、ニューヨーカーについての新しい風俗用語を作り出した。30〜35歳を過ぎても22歳のように装い、行動する“大人”たちを意味するgrown-ups の略で“grup”と呼ばれる。この現象は、一過性の流行でなく、当分は続くと思われる。収入はあるが、個人の自由を重んじ、管理職になることを嫌がり、大学を卒業したばかりのキッズのように、ロックTシャツを着て、プーマのスニーカー、穴あきジーンズをはいている。が、以前のピーターパン・シンドロームやヤッピーと違うのは、子供を持つことをおそれず、収入に見合ったスタイルで装わないことである。

が、良く見ると、ジーンズはセブンや、さらに高価なブランド物で、パーカーのフードはカシミアだ。ステイタスシンボルとしての装いに頼らなくてもいいほど有能で、かつ200ドル以上のジーンズを買える収入がある、との主張がこめられている。もちろん、iPodには最新のロックバンドが入っている。ジョイ・ディビジョンのように聞こえるインターポールを嫌いになれるわけがない!この世代とそれ以前が経験した、親世代とのジェネレーションギャップは、もはや存在しない。そうして、2歳児にミスフィッツTシャツを着せる親が出てくる(それをサポートする店もすぐに出てくる)。もちろん、子は親のコピーでも、作りたいようにこねあげられる粘土でもないが。

要点はざっとこんなだが、いろいろ考えさせられた。今流行っているロック音楽が、80年代から進化していない、というのは退化であり、悲しい。ストロークスとかにしても、良いバンドかもしれないが。もちろん、新しい音楽を全く聴かなかったら、老化の始まりだけど。ちなみに、昨年のコーチェラ(人気オルタナ・ロックフェス)で一番受けたのは、ギャング・オブ・フォーとニューオーダーらしい。アメリカ社会が保守に戻っている傾向があり、若者のトレンドも例外ではないせいもあるだろう。親になることについても考えさせられた。自分が好きなものをできるだけ犠牲にせずに、子供向けのものも楽しみつつ、自分たちが楽しんでいる姿勢から子供が学べるような子育てができれば最高だけど。でも、きっと、思うように行かないのが子育てなんだろう。

この記事、ちょっと長いけど、“grup”の条件を段階ごとに箇条書きにしてておかしい。エコー&ザ・バニーメンを聴いてる、とか、コンバース・チャック・テイラーを履いてる、とか。ひそかにH&Mで買い物をしている私は、“grup”の達人らしい。私はジーンズに200ドルもかけないけど(でも150ドルのMiss Sixtyは持ってる)ライフスタイルも含め、当てはまる点は結構ある。

http://newyorkmetro.com/news/features/16529/index.html