ジャック・ブラックの新作「Nacho Libre」にがっかり

djmomo2006-06-23


孤児として育った修道院でコックとして働くが、メキシカン・プロレスの覆面レスラーにあこがれる、メキシコとスカンジナビア人のハーフ、というのがジャック・ブラック演じるナチョの役どころ。面白くないわけない、と思うでしょ?でも、1時間40分の作品中、声を出して笑ったのは一度もなかった。「スクール・オブ・ロック」のジャック・ブラックを期待したら、絶対がっかりする。

正確に言えば、彼は「キングコング」での場違いさを挽回するかのようにがんばっている。でも、ジャレッド・ヘス監督による演出と台本は、前作の「ナポレオン・ダイナマイト」同様、ばらばらのエピソードをギャグでゆるーくつなげていく方式で、話に強力な筋が通っていないから、せっかくの彼のがんばりもその場その場で浪費され、空回りしている。ジャック・ブラックでなくてもできそうな役だし、その点でも、役柄と彼の持ち味が最高にはまっていた「スクール・オブ・ロック」とは違う。

メキシカン覆面レスラーに始まり、ペネロペ・クルスそっくりな美しい尼僧、デブの子供(修道院で育てられている孤児の内の一人)、などなど沢山のステレオタイプが登場するが、何のひねりも、人物造形が発展してギャグになることもない。

デブのナチョは、激やせ体型の男とプロレス・タッグチームを組み、コミカルさで人気を集めるものの、強くなりたい勝ちたい、とあせる。パートナーは、「君には有名な覆面レスラーにない物がある。ハートさ」と、ナチョをなぐさめる。ひねりもなしじゃ、笑えないじゃないの。勘弁してほしいわー。

修道院には場違いなプロレスラーだけど、はみ出し者にも居場所があるさ、というメッセージ、孤児たちに優しいナチョのキャラクター、あこがれる尼僧とはキスすらなく、とお子様向けディズニー映画のようで、大人には物足りない。子供が生まれたばかりのジャック・ブラックは、すでにパパ気分?