Cars カーズ

djmomo2006-06-26

友達のいない新人レースカーがレースに向かう最中、高速道路の通り道にならなかったために寂れてしまった小さな街で、急ぐだけではない人生の楽しさと友達を見つける、というピクサー/ディズニーの最新作。

グローバル大企業のディズニーがスローライフを説くとは笑わせる。脚本家が11人、という大企業の制作を象徴しているような事実をあわせるとさらに皮肉だ(ちなみに、「トイストーリー2」は8人、「ニモ」は5人が脚本に携わっている)。ピクサーにとって、大人も楽しめるストーリーテリングの最高峰は「トイストーリー2」で、それ以降は技術面だけが進化している、と以前から思っていたが、その方向を決定付けるような作品。

レース場面から始まり、後は最後までアクション的にはあまり見どころがない。ドラマに自信があるなら、まあ許される構成だ。が、話の展開は細部やタイミングまで予想とほぼ違わない。キャラクターに魅力があったり、ギャグが飛び切りおかしければ構わないが、残念ながらそうではない。絵は技術的には本当にすごいけれど。「インクレディブルズ」で中年に焦点を当てた後は、青年と老人(声はオーウェン・ウィルソンポール・ニューマン)というマーケティング作戦だろうが、「トイストーリー」が素晴らしかったのは、主人公のおもちゃたちの年齢設定にかかわらず、子供も大人も共感できたからなのに。