Brothers of the Head

パンク前夜のイギリスのロックシーンを舞台に、ボーカルとギターを担当するシャム双生児を描いた擬似ドキュメンタリー。とはいえ、「スパイナル・タップ」のような抱腹絶倒物ではなく、ユーモアのない悲劇を描いている。監督は「ロスト・イン・ラ・マンチャ」などテリー・ギリアムの映画製作についてのドキュメンタリー映画を撮ったルイス・ペペキース・フルトン

シャム双生児の兄弟トムとバリーは、18歳の時に、父親によって大物興行主に売り飛ばされる。お腹の結合部を悪趣味に見せながら演奏する彼らは、デビュー時から熱狂的に迎えられるが、セックス&ドラッグ&ロックンロールの自己破壊をへて、わずか数ヶ月で悲劇的な事故が。。。

ボーカルとギターのスリリングな対立、というのは本物・偽を問わず、ロック・ドキュメンタリーで使い古された構図。文字通り離れられない彼らの愛憎や悩みは描き足りないか、まとまりがなく、やはりシャム双生児の愛憎を描いた萩尾望都の漫画「半神」に比べ、なんとも物足りない。終わり方も支離滅裂で、これだったら本物のロックバンドのドキュメンタリーの方が面白い。兄弟を演じるのは本物の双子で(シャム双生児ではない)、自分の楽器を演奏しているだけに偽ドキュメンタリーという気はしないし、パンクを少し甘くして、グラムで味付けしたような音楽も含め、時代考証は完璧だと思うが。