映画スターは興行収入に貢献しない?

トム・クルーズは奇行によりパラマウントを首になったが、スターの出演はかならずしも映画の興行収入に影響しない、との調査結果をまとめた、興味深い記事がNYタイムズに載っていた。スターの出演と興行的な成功の間の統計学的な相関性はなく、「ET」「スターウォーズ」は史上最大級の興行収入を上げ、「マトリックス」の成功はキアヌだけによるものではない。スターがでるから当たるのではなく、ヒットしそうな作品を後押しするのがスターだ。

カルガリー大学が行った調査によると、1985−1996年に公開された作品2000以上の内、興行成績に貢献した俳優は、トム・ハンクス、ミシェル・ファイファー、サンドラ・ブロックジョディ・フォスタージム・キャリーバーブラ・ストライザンドロビン・ウィリアムスの7人のみ。ウィノナ・ライダーシャロン・ストーンヴァル・キルマーも、それより数字は少ないが貢献し、他のスターは数字に出てくるほどの影響を与えていない。監督では、スティーブン・スピルバーグオリバー・ストーンの二人。これらスターが興行収入に貢献できるのは、殆どが作品公開後数週間のみで、スターの役割は、作品に対する評価が広く決まるまでに、より多くの人に見てもらうための人寄せパンダにすぎず、作品の足場を固めることはできるが、足そのものを作ることはできない。スターのコアなファンは公開後すぐに見に行くが、作品自体が面白くなければヒットしない、という当たり前の理屈である。

http://www.nytimes.com/2006/08/28/business/media/28cast.html?ref=business