福音派に起きている変化

先週、米国のEvangelical(プロテスタントの一派である福音派)に起きている変化についての記事が、NYタイムズを初めとするメディアをにぎわした。
http://www.nytimes.com/2007/10/28/magazine/28Evangelicals-t.html#

ここ30年ほど、保守的なクリスチャンである福音派=政治的に右派で、保守的な価値観をかかげるG.W.ブッシュの有力な支持層となってきたが、イラク戦争において、ブッシュがあまりにもひどいので、右派離れの傾向が出てきている。

ゲイ反対中絶反対、と反対し続けるのに飽きてきたのも一因のようで、特に若い有権者層の間では健康保険や貧困、環境など、民主党がより積極的に取り組んでいる問題に興味を示すようになってきている。健康保険についてのマイケル・ムーアの映画「シッコ」が描いたように、右派左派問わずアメリカに住む全員に関係してくる問題だからだ。

ブッシュ批判に走る信者たちがいる一方、独立記念日には、硫黄島星条旗を掲げる米兵の写真が再現され、ゴルゴダの丘でキリストが十字架をかつぐ姿と重ね合わせるなど、映画「ジーザス・キャンプ」を思わせる狂った教会があり(映画については去年のブログ参照(http://d.hatena.ne.jp/djmomo/20061010#1160455200)、これまで政治的に一枚岩だった状況が分裂してきた。

来年の大統領選の共和党候補者の内、今のところ一番人気なのはジュリアーニで、福音派信者の中でも例外ではない。が、ジュリアーニは離婚歴のあるカソリック、中絶支持者でゲイの権利の擁護も行う、など福音派の保守的な価値観とは相容れない。そのため、ジュリアーニ共和党候補者として確定したら、第三党候補を支持する、と決めている福音派指導者たちがいる一方、民主党の有力候補オバマが演説を行った教会や、特定政党の支持をやめた指導者たちもいる。いずれにしても、これからの福音派の動向が、選挙の鍵を握っていることは間違いない。