NINJA in NY

トライベッカにあるNINJAレストランで、夫の誕生日を祝った。
NINJAのロゴだけがある秘密めいた入り口からエレベーターを降りると、突然忍者が出現する。席(忍者村)にたどり着くまでに、短いコースと長く危険なコースがあるといわれ、当然後者を選ぶ。真っ暗で細い通路を進むだけだが、またも忍者に驚かされ、お化け屋敷風の演出。
料理はまずくはないが、一品ごとの量も少なく、値段ほどのことはない(コースで一人50ドルから)。日本食の味の分る外人なら不満に思うだろう。が、複数の忍者ウエイターたちによる、楽しんでやっているのが伝わってくるノリノリのパフォーマンス、痒いところまで手の届くような礼儀正しいサービスのせいで、高いとは感じなかった(こちらのレストランではチップの関係上、一つのテーブルにつくウェイターは通常一人だけ)。味だけを楽しむなら美味しい寿司屋とか「ノブ」に行けばよく、ディナー&ブロードウェイよりは安い。
メニューは巻物状になっている。自腹でまた来ることはないだろうと思い、パフォーマンス系の料理ばかり注文する。「抜刀術」というのはホタテとサーモン、枝豆、グレープフルーツがテリーヌのように固めてある。料理がのっている台座の下から刀を引き抜く演出。脇差大の刀でチャンバラ、ハラキリ、指つめ、と日本のステレオタイプを演じて遊ぶ。
「Clam Bombshell」はムラサキ貝、はまぐり、ホタテに火をつけた後(写真参照)グリュエールチーズでフォンデュし、ガーリックブレッドに載せて食べる(どこが日本料理なんだろう)。ネギトロ巻きは適当に美味しい。マスタードやパン粉、パセリなど載せたラム肉の、これにも火がつく。さほどお腹がすいていなかったのに食べ足りなかったので、温かい稲庭うどんを追加。ジンとゆずジュースのカクテルを飲んだ。デザートは4層になったチョコレートムース。バラの花の刺してある花瓶からスモークが出てきて、忍者たちがハッピーバースデイを歌ってくれ、めずらしい体験を楽しく締めくくった。
忍者たちは殆どアジア系(中国韓国系らしい)だが、くのいち一名以外は日本人は見当たらなかった。NYに来たばかりで英語があまりしゃべれない学生も多く働いている、普通の日本食レストランと比べ、英語ネイティブが殆ど。ディズニーランドのキャストのように役者の卵かな。非日本人の求める日本を提供する裏方は日本人ではない、というのはNYではよくあることだ。
http://www.ninjanewyork.com/