Census 2010


10年に1回行われるアメリカの国勢調査、センサスに初めて回答した。自宅に郵送されてきた調査用紙の中の質問は10項目だけで、意外なほど簡単にすんだが、人種を答える選択肢にはびっくりした。写真のように、黒人の定義として、ブラック、アフリカン・アメリカンと並び、「ニグロ」が使われている。21世紀の超公式な文書の中に、時代錯誤で人種差別的な言葉が登場する唐突さに驚いた。黒人系サイトのgrio.comによると、特に高齢者はニグロという呼び名の方が未だにしっくりきたり、奴隷根性が抜けないということらしい。要は、人種差別という批判を受けるリスクよりもデータの正確さを重視して、念には念を入れたということのようだ。ちなみに、アジア人の中には、インド人や中国人などのメジャーな人種に混じって、「グラン・トリノ」でイーストウッドの隣に住んでいたモン族の名もある。
アメリカには住民票や戸籍がないため(市役所が出す結婚届はある)、センサスが地域ごとの人口や人種構成を把握するための唯一の手段となるが、今回の回答率は特に低いのではないかと懸念されている。オバマ大統領の景気刺激策や保険改革法案に反対する保守的政治運動であるティーパーティー運動が、昨年から盛り上がっているためだ。質問事項は、住民数と各住民の名前、続柄、性別、生年月日、人種、住宅の種類(持ち家または賃貸)である。各地方の学校や病院などの公共インフラやサービスに使われる、米国政府からの補助金の配分や各州の下院議員数を割り出すのが目的だ。なぜ、名前を記入しなければいけないかは不明だが(回答に不備があった場合に備えて電話番号も記入する)。不法滞在者や(不法滞在取り締まりは移民局の仕事で管轄外)、ホームレス、トレーラーハウス(mobile home)の住民も対象となるのはアメリカ的といえるかもしれない。日本語版ガイドもある。
http://2010.census.gov/2010census/pdf/LAG_Japanese.pdf