A Touch of Sin


中合作映画「A Touch of Sin(罪の手ざわり、原題「天注定」)を見た。地方の実力者の腐敗に怒る鉱山労働者、新興成金に侮辱を受けるサウナの受付係、非人間的な巨大工場で働く青年など、追い詰められてキレてしまう人々を、ここ数年中国各地で実際に起きた事件に基づいて描く。現代中国の問題を描くこうした作品が中国本土で製作されたことに驚いたが、検閲をまだパスしていないために、中国国内での公開は未定だ。オフィス北野が製作・配給を手がけており、暴力と叙情が融合した作風は北野作品を思わせる。日中の領有権問題が激化する前に決まった日中合作だろうが、両国の関係がこじれる中で、こうした真摯な内容の合作は特に意義深い。