2013年ベスト映画

1.Her

離婚手続き中のホアキン・フェニックスが、人工知能を持つコンピュータシステムの声(スカーレット・ヨハンソン)と恋に落ちる、スマートでファニーでクレイジー恋物語。演技も脚本もテンポも良く、今の時点ではありえなさそうな物語を、実際にありそうで、かつ最も美しい映画のロマンスの一つにしている。

2. Inside Llewn Davis

コーエン兄弟10年来の佳作。一人のシンガーソングライター(オスカー・アイザックの演技が素晴らしい)を通して60年代のグリニッチビレッジのフォークシーンを描く作品で、猫好きは特に必見!名演技をするだけでなく、物語で重要な役を果たす。ゴールデングローブでもアカデミー賞でも無視されているが、「True Grit」や「No Country for Old Men」よりはるかに良い。

3.Blue is the Warmest Color

今年カンヌで最高賞をとったフランス映画は、過激で長いレスビアンセックスが話題になり、米国では成人指定となっているが、普通に感動できる恋愛映画だった。主人公のカップルを演じる二人の女の子がかわいくてセクシーで演技力もあり、3時間目が離せない!特に若いほうのAdèle Exarchopoulosは次のイザベル・アジャーニになること間違いなし!ちなみに、この映画はアイダホ州で上映禁止となっており、私が見た劇場では、アイダホから見に来たことを飛行機やバスの切符で証明できれば無料で見られるという粋なはからいがされていた。

4. Touch of Sin
http://d.hatena.ne.jp/djmomo/20140117#1389919660

5. Behind the Candelabra

HBOテレビで放映された"Behind the Candelabra" は楽しいエンターテイメントで感動的でもあり、ソダーバーグの最高作かもしれない。華麗なショウマンでゲイのピアニストであるリベラッチをマイケル・ダグラスが、その恋人をマット・デイモンが演じる。2人とも意外なはまり役で、特にダグラスは説得力とユーモアがあり、彼のキャリアの中でも最高の演技の一つ。

6. Stories We Tell
カナダの女優が自らの出生と家族の秘密を明かしていくドキュメンタリー。語り手によってそれぞれ違う物語は、ドキュメンタリーに新たな文学的タッチをもたらしている。

7. The Act of Killing
インドネシアで60年代に起きた共産主義者やインテリ、中国系インドネシア人などの大量虐殺事件の実際の殺人者たち−元は軍の下で働くギャングで、今は国民的英雄−に、虐殺の模様を再現させ、その過程における彼らの心の移り変わりを描くという衝撃のドキュメンタリー。

8. Cutie & Boxer
http://d.hatena.ne.jp/djmomo/20130827#13775650839.

9.The Great Beauty
若いころに書いた小説一作のみでローマの文化セレブになり、毎晩華麗なパーティーに明け暮れる60代の作家を描いた、「甘い生活」のその後のようなイタリア映画。作家が自分の老いと過去に思いをめぐらす内省的な場面よりも、リッチでインテリの中年以降の男女が明日をも知れぬように踊り狂う姿は、彼らの不安と恐れをとらえて迫力があり、「華麗なるギャツビー」のパーティー場面よりはるかに真に迫っている。

10. Nebraska
アレクサンダー・ペインの映画は今ひとつピンと来ないが、ブルース・ダーンの演技は素晴らしい。しかし、白黒デジタルの映像は常に成功しているようには見えない。