メダルより子犬を奪い合う五輪選手たち

http://jp.wsj.com/article/SB10001424052702304775004579394222180307920.html?mod=JWSJ_EditorsPicks

オリンピックに全く興味のない私でも、こんな競争ならいいなと思ってしまいました。日本語訳で子犬となっているのは、原文では雑種犬です。純粋培養の選手たちが雑種犬を引き取るという、動物愛護上、とてもいい宣伝になっていた部分が誤訳されていたのは残念ですが。いずれにしても、検疫の関係で、選手が一緒に連れて帰るのは難しそうですが、この記事がきっかけの一部になって、引き取り続きがスムースになることを願います。
EU内では、狂犬病の予防接種を出国の21日以上前に済ませるなどの検疫上の必要事項を満たすことを証明するペットパスポートがあり、国によって必要事項は異なりますが、それらを満たしていれば、家族と一緒に海外旅行や出入国が可能です。米国もこの制度にならっています。
でも、日本の選手が同じことをしようと思うと大変です。狂犬病の予防接種を2回受け(欧米では1回)、血液検査を受けた後、日本に行くまでに180日間の待機期間が必要です。したがって、日本通運のサイトによると、ペットを連れての帰国には最短で8か月かかります。待期日数のが不足分は、家族と離れて係留施設で過ごすことになります。
ここにはいろいろな問題がありますが、最大の問題は180日間の待機期間です。島国日本が狂犬病などに非常に慎重になることはわかりますが、検疫がなかったり、ゆるかったりした時代ならいざ知らず、相互の了解のもとでEU式のペット入国制度(PETS)が取られている諸国では、基本的には、健康なペットを係留するという非人道的な措置は取られていません。
 日本はPETSに加盟していますが、180日間待機期間ルールを採用しています。島国イギリスがこのルールを廃止したことから考えると、ペット先進国であるはずの日本は遅れているようです。
東京オリンピックを機会に、先進国なのにカードが使えないところがあるなどのサービス面に加えて、こうした非人道的な措置が近代化されることを願います。
 最近読んだ「おろしあ国酔夢譚」で、ロシアから戻ってきた日本の漂流民を隔離した鎖国時代から変わっていないのだなあと、ペットの帰国・輸出入について調べてみて思いました。異質なものは隔離するという態度は、福島のペットたちがいまだに家族と一緒になれないことも、移民政策が依然として厳しいことをも説明しています。