山猫


3時間を超える作品で、いかにもその長さを感じさせるが、最後1時間ほど延々と続く、おそらく映画史上最長の舞踏会の場面になると断然面白くなる。

1860年、イタリア統一前夜のシチリア島が舞台で、バート・ランカスター演じる、由緒ある家柄だが没落してきている貴族と、統一運動に加わる甥(アラン・ドロン)、その婚約者で新興成金の娘(クラウディア・カルディナーレ)を中心に描かれる。

新旧勢力が一堂に会する舞踏会は、それまでに演じられた、イタリアの変化を巡る異なる態度などなかったように、旧態依然として華麗だ。私が最近見た、スカラ座ロビーの社交風景と直結しているように見え、現在までイタリアが変わっていないことを端的に示しているようだ。建物の感じも変わっていない。台詞の上では、統一イタリアが初めから、マフィアやファシズムの台頭など後に問題として噴出するような対立を抱えていたことを示している。

それにしても、イタリア貴族ヴィスコンティの分身がアメリカ人バート・ランカスター、その甥がフランス人のドロン、というのは興味深い配役。『ヴェニスに死す」のダーク・ボガードもイギリス人だ。ヴィスコンティヴィスコンティ家の傍系出身だからか、ゲイで左翼の貴族として異色な存在だからか?

ランカスターはとびきりイイ男に撮れているが、カルディナーレ(「ウエスタン」など)とドロン(「若者のすべて」など)は他の作品の方が美しく撮れている。