Lust Ionicsミニツアー

djmomo2005-10-17


3日間だけだが、6年ぶりにコンサートツアーを行った。夫のエド(g)とドラマーのAdam Krineyとのノイズ即興ロック・トリオ、Lust Ionicsで、14-16日の週末、ワシントンDC、チャペルヒルリッチモンドで演奏。今まで3回行ったアメリカ・ツアーは、エドとのデュオ、Spin-17のみ。初めて、他人と終始行動をともにすることに不安を抱き、緊張ただよう瞬間もあったが、何とか無事に帰って、猫たちと再会できて、ほっとしている。

初日は、雨の中を7時間、NYからDCまでドライブ。
アダムのアパートのエレベーターは動かず、レンタカーのCDプレイヤーは壊れており(アメリカで車を借りると、CDプレイヤーが壊れてることが多い)、結構悲惨だった。

会場は、キューレーターのScott Verrastroが猫と住んでいるタウンハウスでもある、611 Florida。DCで実験・即興音楽やノイズを演奏する場所は、基本的にここだけのようだ。NAUTICAL ALMANAC、PSIなど計5バンドが、リビングルームの隣の部屋で演奏した。客は出たり入ったりの20人ぐらいで、リビングにいる。自分たちの演奏は、可もなく不可もなかったが、演奏している部屋のほうで、客が立って見てくれたのは、うれしかった。演奏時間10分で、またしても自己最短記録を更新。

ノイズ・シーンでは有名なNAUTICAL ALMANACはまあまあ。ドライブで疲れていたので、ついついアームチェアで寝てしまった。NYのミュージシャン、Chris Forsyth(g)のトリオ、PSIが意外に良かった。彼の演奏を最後に聞いたのは2年ぐらい前だが、非常にミニマルで退屈だった。ここでは、彼の演奏はミニマルながら、演劇的なFritz Welch のパーカッションと、Jaime Fennelly のエレクトロニクスで奥行を出していて、組み合わせの妙。最近Chrisと会ってなかったので、奇遇を喜ぶ。

演奏が1時半ごろ終わり、そのまま他のバンドのメンバーと、リビングで寝た。合宿みたい。地元バンドは一組だけで、バンド数も多く、自分のも人のも一緒になって機材がごろごろしているような混沌とした状態で、快適な演奏環境ではなく、また来たいとは思わなかった。キューレーターをはじめ、地元観客もまったりしすぎていて、あまりフレンドリーではなかったし。

DCは、前に観光でホワイトハウス付近を見ただけで、人工的な印象を受けた。今回、初めて演奏したが、やっぱり印象はよくない。会場は、以前スラムで、最近再開発が進んでいる住宅地だが、車で少し行くと、ハーレム的な地区で、そのすぐ隣はスターバックスやWhole Foodsがあるような商業地区。犯罪率全米1位、黒人人口の多いDCは、NY以上に危険地域がトリッキーに入りくんでいるようだ。

2日目は、リッチモンドを通り越して、ノースカロライナ州チャペルヒルへ。デューク大学のカレッジタウンで、小さな美しい町だ。Spin-17は、デューク大学のラジオでNo.1になったことがあり、そのラジオ局でも演奏したことがあるので、なつかしかった。7年前のことなので、今回の客足は良くなかったが…

会場のNight Lightは、カフェ(夜はビールあり)付の本/レコード屋で、ステージの後ろには天井までの本棚が。前のバンドの演奏途中で、PAがオーバーヒート、そのバンドとアンプを貸し合って演奏した。気楽で居心地のいい雰囲気は好きだけど、こういう機材のトラブルが一番腹が立つ。ボーカルの音量も、十分聞こえてたとはいえ、故障のせいで、思ったより大きくできなかった。ここでは、sound effectと、題名とレトロなジャケットにひかれて、「下宿生」という韓国の映画主題歌のレコードを買った。

が、良かったのは、7年前に演奏した時に世話になったギタリスト、Chuck Johnsonとの再会。開演前に、偶然見つけた地元レコード屋に行って、CDを置いてきた。なんと、そこは前に演奏した場所で、店員がチャックのことを知っていて、その場で連絡を取ってくれ,チャックは、ショウにきてくれた。しかも、会場のオーナー、ライアンは彼のルームメイトで、もう一人のオーナーは彼のガールフレンド、ということが判明。小さな町とはいえ、such a small world!! チャックは、ガールフレンドのところに泊まって、私たちのために自分のベッドを空けてくれ、彼の猫ピンキーが、朝ベッドに訪問してくれる、うれしいおまけまで付いた。

DCもそうだけど、ここでも白人は特権階級だ。チャペルヒルでは、圧倒的に白人が多く、緑の多い、きれいな町並や洒落た店を楽しんでいるのが白人だけ、という点が違うが。

最終日はバージニア州リッチモンドでの、804 Noise Festに参加
http://804noise.org/fest/index.html)。
お昼から夜11時まで、ノイズバンド約20組が出演するフェスティバルだ。土曜日はワークショップも開かれた。参加バンドは、DCでも一緒になったNAUTICAL ALMANAC(この日はすごく良かった)、Projexorcismなど。CDレーベルのブースが、隣の部屋にあったので、私はSudoku持参で、接客に励み、結局3日間で約60ドルのCD売上。3ドル、5ドルが中心であることを考えると、悪くない。だいたいの内訳は、Lust Ionicsが5枚、Spin-17が2枚、私のソロが3枚、エドのソロが2枚くらい。他に、ミュージシャンとのCD交換多数。無愛想な私だが、東京のデパートで働いていた時から、対面販売は好きだった。おしゃべり=良いセールスマンではないのだ。

かんじんの演奏だが、これが良かった。今まででベスト。PAも問題なく、リラックスしつつも、約100人(半分は出演者だと思う)ほどの観客からうける緊張感とで、こころおきなく大音量で叫ぶことができた。叫びのバリエーションも今までで一番多かった。おもちゃのホーンの評判も良し。いちばんタイトでロックな演奏でありつつ、実験音楽の要素もあり、反応も良かった。やりたいことをやりつくしてしまったので、これからはどうしようかな。

演奏後しばらくして、急遽NYに戻ることに。コーヒーとクリスピークリームのドーナツで、眠気と戦いつつも、道路はすいていて快適。朝4時半にNYに着いた。
Home sweet home!! やっぱりうちの猫が一番!!

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