「Narnia 」「Good Night, and Good Luck」 「Day of the Dead」

  

「The Chronicles of Narnia: The Lion, the Witch and the Wardrobe」

ファンタジーのパロディを狙ったのか、原作では多分わざと類型的に描かれている子供たちも、映像があるだけに、短い時間できちんと個性が描きわけられ、ウィットは多少損なわれているものの、原作より良い出来、と思った導入部だった。が、いざ冒険が始まり、ナルニアの国でビーバーを始め、CGの動物がしゃべり始めると、あらら、スターウォーズのジャジャビンクスのよう、子供しか喜ばず、大人は頭が痛くなってきちゃう。原作の量がそれほどないので、原作にほぼ忠実に作られていたが、多少はしょってテンポを早くしたほうが良かった。

原作者C.S.ルイスの友人、トールキンが書いた「ロード・オブ・ザ・リングス」の映画は、原作の規模の大きさを再現していた。それに比べ、「ナルニア」の原作は、規模も小さく、イベントも少ない。残念ながら映画の規模も小さく、魔女の城が最初に見える場面や、最後の合戦の場面でも、どきどきしなかった。ティルダ・スゥイントンの悪い魔女役は、ソフト・ゴス(?)ともいえるメイクと衣装、演技で楽しかったが。

去年のクリスマスに初めて原文で読んで、日本語訳(「ナルニア国ものがたり」)に比べ、キリスト教の比喩が強く感じられるのに驚いたが、世界で配給されるディズニー映画だけに、キリスト教色は、殆どない。そのかわり、兄弟愛がやたらと強調されて、うさんくさい。ブッシュの強力な支援者で、保守的な価値観に基づいたエンターテイメントを提案するPhilip Anschutzが、この映画の大口投資者ということで、劇場では見ないことにしたが、作品の出来からしても、それで正解だった。

「Good Night, and Good Luck」

ジョージ・クルーニーの監督作品。

真実の報道の義務のために、1950年代前半に赤狩りを行ったマッカーシー上院議員と戦う、CBSのニュースキャスター、エドワード・R・マロウとそのスタッフは、本当にこんなにヒロイックだったのだろうか。調べてみたけど、そのようで、ジャーナリズムのお手本を作った人らしい。でも、白黒の画像の美しさとあいまって、少し冷たい気がして、説得力が足りないかな。メジャーネットワークがお上にたてつくなんて考えられない現在だからこそ、撮られた作品なのだろうが、そのメッセージが、あまり画面から伝わってこないような気がする。

「Day of the Dead」(邦題は「死霊のえじき」。すごい題!!)

ジョージ・A・ロメロのゾンビ3部作の3作目で、1985年の作品。私が去年の映画ベスト1に選んだ、4作目のLand of the Deadを先に見てしまったが、これはテンポも悪いし、ギャグも少ないし、シリーズ物でなければ、途中で挫折してたな。いかにも予算を節約しました、という感じの打ち込み音楽も耳につく。強い白人女と黒人男、という設定も、高いところに上って救われる、というのも2作目と同じだが出来が悪い。4作目での、タワーに住む特権階級の住民の運命を考えると、3作目までと違い、同時多発テロ後の世界感を反映していることを感じさせられる。