マーシャル・アレンと共演

　
26日、木曜の夜はフィラデルフィアで、マーシャル・アレンと共演した。81歳という年齢を感じさせない、“サン・ラのリードホーン”として立てる必要なんて全くなしの、バリバリの現役、存在感のある音で、私たちも変に緊張することなく、優れたミュージシャンとの演奏を純粋に楽しませてもらいました。

フィラデルフィアに出発する前、エドは鳥に糞を落とされる。しかも、頭の真ん中！私は笑い転げつつも、鳥の糞をもらうのは幸運のしるし、ギグは成功だイエー！、と、ギターのジェフと手のひらをバチンと合わせる。エドは憮然としていたが。

フィラデルフィアにはチャイナタウンからバスで2時間で着く。往復たったの　20ドル。会場は、ペンシルヴァニア大学が買い取った古い映画館で、天井に穴が開いてはいるけれど、約200の客席はアンティークで、背の後ろ側が木だったり、となかなか素敵な場所。が、買い取ったはいいが、使い道に困ってて、近いうちに取り壊されるそうだ。全米にはこんな建物がたくさんあるんだろうな。もったいないな。確かに、キャパに比べて、舞台も奥行きも長すぎて、使いにくかった。普通、大学関係のギグはハイプロファイルな部類に属するが、今回はマーシャルと一緒でも、その辺はアンバランスで驚いた。責任者の人柄に多くをよっているみたいだったけど。ＰＡのいる大きさなのに手持ち機材すら全くなくて、結局私たちがＮＹから持っていったり、その辺の連絡もきちんとなかったり、暖房が壊れてたり、とか。こういう人たちだったら、会場を使いこなす才覚もなかろう、と思った。

まあ、そういったテクニカルな不備はあっても、とても面白い経験でした。
一応、私のターンテーブルは嵐の音を小さめに、ジェフのギターもエドのラップトップも、いかにも導入部のような雰囲気の音でスタートして、マーシャルのサックスを待ったが、後は正直言ってかなり混沌としてた。あ、マーシャルがサックスで叫んでるから、わたしも叫ばなきゃ、とか単純に動物的な本能でリアクションしてた。客も150人ぐらい入ってたこともあって、ノイズバンドの時より叫びすぎて、実はまだのどが痛い。でも、マーシャルと私の格闘デュオが一番まとまってはいました。私たちがノイジーになっても、マーシャルはそれを上回るEVI（エレクトロニクス・サックス）のクレイジーな音で対抗してくれました。はいずるような超低音から耳をつんざく高音まで自由自在に駆け回って、あんな音聞いたことない。私はボイスとおもちゃ、エドはサックスのデュエットで遊んでもらいました。

演奏直後は、両端のジェフとエドはお互いの音がよく聞こえず、欲求不満気味だったけど、私はマーシャルとのデュオに満足。最初に録音を聞いたら、自意識過剰のせいか、自分の音がでかすぎるように思ったが、2回目に聞いたらバランス取れてた。私たちの演奏は完璧ではなかったけれど、どんな時でもマーシャルは自分の音があって、全体の構成を考えながら即興をしているのはすごい。私は、普段はそんなことないのに、マーシャルとのデュオのとき、つい彼をコピーしてユニゾンばかりになりがちだったので、また演奏する機会があったら、カウンターメロディーが出てくるぐらい落ち着いていたい。最後の10分ぐらい、サン・ラのダニー・レイ・トンプソンがフルートで参加した。彼には、私の声をほめられたが、マーシャルからは音楽的なことは何も言われなかったなあ。カンフー映画が好きで、｢少林サッカー｣の話をして、エドがコピーして送る、といったら、3回ぐらい確認してた。また、演奏できるといいなあ。もっと、良くなると思うから。サン・ラの音楽よりも、マーシャルが共演してきた人よりも、かなりぶっ飛んでた音だったと思うから、マーシャルを聴きに来た殆どの観客にうけたかどうかは分からないけど、私たちはマーシャルとの演奏を楽しんだし、マーシャルも言葉には出さなくても、私たちとの演奏は楽しんでいるようでした。そうだといいな。

私たちの後に演奏したのは、コルトレーンとの演奏で有名なフリージャズの大御所ジョン・チカイ（アルトサックス）と、これも若手との組み合わせで、Ches Smith （ドラムス）、Mary Halvorsen（ギター）。私たちの演奏より、はるかにまとまっていてレベルも高かったが、少々退屈だった。

11時のバスに乗り、1時過ぎには家に着く。とりあえず、事故もなかったし、良い経験できたし、鳥の糞のご利益はあったらしい。マーシャル、また演奏したいからまだまだ元気でいてね！！ヘビースモーカーにもかかわらずあの音、ジェフの話によると、フィラデルフィアの家（サン・ラが住んでてオーケストラの練習場所でもあった）の冷蔵庫には、ケチャップもマスタードもなく、ナッツだけがぎっしり入っているらしい。

今年も、サン・ラを率いて、世界中をツアーしてまわるらしい。いつまでも元気でねー！！
http://www.thesunraarkestra.com/
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