The Wayward Cloud(浮気雲/天邊一朶雲)

都会の孤独な恋人たちを描いた、ウォン・カーウァイ風すれ違い切ないラブストーリーと、キッチュなミュージカル場面が交互に現われる不思議な作品で、一見の価値あり。台北でのポルノビデオ撮影の内幕、干ばつ、すいかという三題噺でもある。各場面の中でも、ミュージカルとそれ以外の場面の激しいギャップでも、笑いどころがたくさん。殆ど台詞も音楽もないラブストーリーとミュージカル場面が、うまく溶け合っているかといえば疑問だが、人間の性の哀しさおかしさは良く出ていた。ツァイ・ミンリャン(Ming-liang Tsai)監督、2005年作。

ポルノビデオ男優が撮影を行なっているアパートで、階上に住む女の子(Shiang-chyi Chen)と恋に落ちるが、仕事でセックスしているので、彼女とはなかなかそこまで至らない。彼女には仕事のことも秘密にしているが。。。。

汚すぎず清潔すぎずハンサムすぎないKang-sheng Leeは、生活のためのポルノ男優、という役柄にはまっていて、好感が持てる。同じ監督のWhat Time Is It There?では、路上の時計売りの役だったので、「もう時計は売ってないの?」という彼女の台詞がご愛嬌。生きたカニを買って来て、動いているカニを捕まえ、鍋に放り込み、音を立てながら二人で食べる場面はエロティックで、早速チャイナタウンでカニが買いたくなる。ビデオ撮影場面もいやらしくて良い。

超低予算でのビデオ撮影時の性的なジョークも爆笑物だが(映画館では爆笑に次ぐ爆笑)、なんと言ってもミュージカル場面のビジュアルがすごい!写真を見てください。私はこの写真2枚だけで、絶対見なきゃ、と思いました。

シャワーも浴びられない水不足の暑い夏の、煩悩狂い咲きってとこかしらねー。