「Welcome to the Dollhouse」「Felix 」「流星人間ゾーン」「ピンク・フロイド」

  

「Welcome to the Dollhouse」
96年の公開時に見逃したままになっていたのだが、見ておけばよかった。今見ると、どこまでcamp的なユーモアを意図しているのか、微妙。やはり、もてないティーンを描いた「ナポレオン・ダイナマイト」を最近見たときは、レトロなゆるい70年代がギャグの一部になってることがはっきりしてたけど。変なはみ出し者のティーンが主人公のコメディだったら、内容はかなり違うけど、「ラッシュモア」のほうが断然好き。

「Felix the Cat」
1919-30年までのサイレント時代の映像。ベティ・ブープもそうだけど、この頃のアメリカのアニメは、ほんとに想像力が柔軟でシュール。ベティちゃんも良いけど、時に殆ど邪悪ですらあるmischievousないたずらっぽさと、大恐慌前の浮かれ騒ぎを象徴するようなパーティー好きのフェリックスのキャラクターと表情は魅力的。殆ど変わっていないセントラルパークウエストや、今はない高架鉄道など、古いニューヨークの実写風景が、アニメと組み合わさっているのも楽しい。


「流星人間ゾーン」
ゴジラがゲスト出演しているTV番組がある」と夫がダウンロードしてきた掘り出し物。1973年に東宝が制作した特撮ヒーロー物だけど、こんなのあるなんて知らなかった。まだ2話しか見てないが、美味しいディテールがたくさんで、Bムービー好きは必見!bad goodな映画を探すのは、good goodかbad badな映画を探すより難しいけれど、これには満足。

平和に暮らしていたピースランド星人はガロガ星人の攻撃を受け、第二の故郷を探すべく流星人間となり、地球に流れ着いたゾーン一家(地球名は防人家)は地球人として暮らし始める。が、ガロガの魔の手は地球にも伸び、ゾーン一家はガロガを迎え撃つ。

設定だけでまず笑える。子門正人が歌う主題歌の字幕は、主人公なのに「りゅせいにんげん」になっている。ゾーン一家の普段着は70年代ファッションで、カッコいいけど、ワル目立ちしてしまう衣装に予算を使い果たした感がある。色あわせとか、必要ない衣装替え、悪役がジーン・ハックマンのような三つ揃えを着ていたり。当時のインテリア雑誌から抜け出てきたようなデコレーションのリビングルームでの、絵に描いたようなワッハッハ、という幸せな団欒風景(末っ子の男の子が笑いのネタを提供)。でも、次の部屋に行くドアを開けるのに、壁がなかったりする。

長男がゾーンファイターっていうのに変身して戦うが、どう見てもウルトラマンのパクリなのに、円谷プロの名前はどこにも見えない。ゴジラは、困ったときになると呼び寄せることができる。もっと早く呼べば、なんて言っちゃいけない。だって、そういう展開ばっかりなんだもん!窮地を脱して攻勢になると、お約束どおり主題歌が流れ出すし、最後の教訓的なメッセージも忘れちゃいけません。私が見たのは、第一話と、ゴジラが登場して本多猪四郎が監督したエピソードだったけど、福田純監督(この人もゴジラ監督)の第一話の方がB級度が強くて面白かった。

ピンク・フロイド・ライブ・アット・ポンペイ(ディレクターズ・カット)」
音に合わせて火山が爆発したり、など70年代ポルノの古典「ディープ・スロート」を思わせる(オーガズムの場面で花火やロケット発射)、分かりやすい男性的なイメージが笑える。以前、大友良英がミクシイのブログの中で書いていた、男が作る音楽と女が作る音楽の違い、について考えさせられたり。表面的なフェミニンさというわけではなく、戦争に負けようと勝とうと、淡々と毎日夕ご飯を作る人と、そうでない人の音楽。