2006年ベスト&ワースト


2005年のベスト1と2は、「ヒストリー・オブ・バイオレンス」「ランド・オブ・ザ・デッド」と暴力がテーマの2作品だった。2006年は、継続するイラクでの戦争を反映してか「硫黄島からの手紙」「Pan’s Labyrinth」「影の軍隊」「Iraq in Fragments」と戦争を扱った秀作が多かった。優れたドキュメンタリーも多く、ある意味文化的な戦争を偽ドキュメンタリーの手法で描いた「ボラート」は、非常に2006年的な映画である。

1.Boratボラート: Cultural Learnings of America for Make Benefit Glorious Nation of Kazakhstan
作品の出来自体は2位の三作のほうがはるかに上だが、個人的にも社会的にも第一位のインパクト。カザフスタン政府からタブロイド紙まで巻き込んでの大騒ぎ、映画館はロックコンサートを思わせる爆笑の嵐で、少なくとも一ヶ月はボラートの真似で笑わせてもらった。
http://d.hatena.ne.jp/djmomo/20061109#1163035303

2.Army of Shadows 影の軍隊
1969年制作だが、アメリカでは去年初公開された傑作
http://d.hatena.ne.jp/djmomo/20070110#1168394762
2.Letters from Iwo Jima 硫黄島からの手紙
日本人に撮ってほしかった日本映画
http://d.hatena.ne.jp/djmomo/20061228#1167289988
2.Pan’s Labyrinth 
ファンタジーと現実を巧みに織り交ぜた作品
http://d.hatena.ne.jp/djmomo/20070110#1168394762

5.The Descent ディセント
痛い。
http://d.hatena.ne.jp/djmomo/20060809#1155088083
5.Superman Returns スーパーマン・リターンズ
宇宙一孤独な男を描いた、大人のスーパーヒーロー映画
http://d.hatena.ne.jp/djmomo/20060722#1153585682
5.An Inconvenient Truth 不都合な真実
1月というのに、Tシャツで外を歩けるほどの気狂いじみた暖冬の預言者アル・ゴア
http://d.hatena.ne.jp/djmomo/20060816#1155760846


8.Iraq in Fragments イラク・イン・フラグメンツ 
文字通りイラクの断片を描き、ドキュメンタリーの強さを感じさせる
http://d.hatena.ne.jp/djmomo/20061118#1163822137
8.The Devil and Daniel Johnston 悪魔とダニエル・ジョンストン
神経に障るほどリアルで悲しい芸術家のドキュメンタリー
http://d.hatena.ne.jp/djmomo/20060405
8.Talladega Nights : The Ballad of Ricky Bobby タラデガ・ナイツ
保守とリベラルに割り切れないアメリカの価値観を描く
http://d.hatena.ne.jp/djmomo/20061207#1165511013

次点
United 93 ユナイテッド93
Children of Men トゥモロー・ワールド
8位の作品よりも出来は良いが、愛着度は劣る
http://d.hatena.ne.jp/djmomo/20070116#1168988969


特に印象に残った演技

ロバート・ダウニー・Jr(「スキャナー・ダークリー」)
サシャ・バロン・コーエン(「ボラート」)
アル・ゴア(「不都合な真実」)
渡辺謙(「硫黄島からの手紙」)


2006年ワースト(順不同)

  • Tideland

観客のことを考えずに作られたらしい。退屈なだけでなく、死の観念をもてあそぶ感じも不快で、最後まで見れなかった。

  • Snakes on a Plane

蛇から開放された画面の中の乗客だけでなく、見ている側も終わってほっとした。

  • V for Vendetta エンターテイメントとしても、政治的なメッセージとしても中途半端
  • Art School Confidential

美術学校での典型的な学生像を紹介した後は、作り手自身が把握してないのではと思われる、クルーレスな話の展開。同じ監督の「ゴーストワールド」は面白かったのに。

おくやみ
エイドリアン・シェリー
最初自殺と報道され、後に他殺であると分かり、タブロイド紙の一面をにぎわした。ハル・ハートリーの映画に主演していたころよりもはるかに多くの注目を、こんな形で集める皮肉さに、暗い気持ちになった。