ゴーストライダー Ghost Rider


公開前に批評家に見せなかったので、どうせろくな出来じゃないだろうと思ったら、案外楽しめた。B級どころか控えめに見てもBマイナス映画としてだが。やたらと都合の良い無理なストーリー展開や、平面的な登場人物などに対して、文句を言うだけ無駄というもの。

父親の命を救うために悪魔に魂を売ったバイクのりの話だが、ここで楽しめるのは、たぶん原作(これも「スパイダーマン」同様マーベル社の漫画)のシリアスな雰囲気を損なうであろう、場違いな感じのあるニコラス・ケイジのユーモアだ。ニコラス・ケイジは、一種不条理感ある微妙でないユーモアが、役柄と関係なくにじみ出てきてしまう俳優で、その特徴が最大に生かされているのは「ワイルド・アット・ハート」や「レイジング・アリゾナ」だと思う。ゴースト・ライダーのキャラクターは「ワイルド・アット・ハート」の偽エルビスに近いキッチュさ、「Vampire’s Kiss」で実際にゴキブリを食べた悪趣味(音楽の趣味もひどい!)さを思わせる。

私は、いつの間にかニコラス・ケイジのファンをやめ、最後に見た作品は「アダプテーション」。それでも、見ていない主演作品を全部すらすら言えてしまうのはどうしたことだ。例えば、ブラッド・ピットニコール・キッドマンだったら、彼らのファンを除き、全作品は覚えていない気がする。盛りはとうに過ぎたとはいえ、いまだにトム・クルーズ級の最後のスターの一人かもしれない。