300


他にあまり見る作品もないので、現在ヒット中。生首が飛び散る古代戦記アクション。マッチョなスパルタ軍300人と圧倒的に多勢のペルシアとの戦いを描く。NYタイムズは、メル・ギブソンの「アポカリプト」並にバイオレントで、ばかばかしさは2倍、と酷評。

CGが多すぎて、しばしば生身の役者と区別がつかない。役者と衣装以外は、基本的に全部CGで作られていて、原作となっているアメコミの質感を出すのには成功しているものの(やはりフランク・ミラーの漫画が原作の「シンシティ」同様だが、「シンシティ」の方が圧倒的で、漫画をただ映画にしただけでない独創性が感じられた)人間の想像力の限界を感じさせられることの方が多いCG。

見世物に徹して作られ、演技やドラマを期待してみる作品でない、とは承知していたが、主人公のスパルタ人にもう少し感情移入できたら、まだ見れた。ペルシャの使者が妃を言葉で侮辱しただけで、スパルタの王は使者を殺害してしまい、ペルシアと戦いになる。もうちょっと外交的にまともな理由の方が、その後の内容がいかに薄くても、アクションを見せるための作品、と割り切れた。アテンション・スパンが短い、いまどきの若者に迎合して作ったあまり、自分の首を絞めているような出来で、眠くなった。ボイスオーバーが多く、しかも誰が語っているのか、隠す必要もないのに最後まで明かされないのも、いらいらした。