Blades of Glory ブレイズ・オブ・グローリー


ウィル・フェレル主演のおバカ映画、今回はフィギュアスケートがテーマで、共演は「ナポレオン・ダイナマイト」のジョン・ヘダー。男子フィギュアスケート界でライバル同士であるチャズ(フェレル)とジミー(ヘダー)は、オリンピックで共に金メダルを受賞するが、表彰台でケンカしたため、メダルとオリンピック出場権を恒久的に取り上げられてしまう。屈辱に満ちた日々を送る二人だが、シングルでなければ出場できる、というルールブックの抜け穴を見つけ、前代未聞の男同士のペアを組んで、オリンピックを目指す。

Nascarを題材にしたフェレルの前作「タラデガ・ナイツ」よりは劣るが、フェレルのギャグの数々を成り立たせるお膳出てとしては合格点。「栄光のスケート」という題名から分かるとおり、要はスポコン友情物語で、意地悪な敵役ももちろん登場する。「ナイツ」はアメリカ文化の軽薄さを、軽薄なアメリカ文化の象徴のようなフェレルが笑っていることで深みが出ていたが、ここにはそのような風刺は感じられない。

が、男同士のスケート=ゲイというあからさまなギャグだけでなく(思っていたよりは少なかった)、“優雅”なフィギュアスケート界のダブルスタンダード−衣装や音楽など冷静に見れば、ショウビズの基準からしてもダサいよね−のおかしさがよく出ていて、フェレルの泥臭いルックスも、そのおかしさを増している。ヘダーも「ナポレオン・ダイナマイト」よりユーモラス。オリンピックを見ない私は、フィギュアの男子ソロという前提ですら存在しないのでは、という錯覚に陥りそうになってしまうほど馬鹿馬鹿しいギャグの連続だった。