Hostel : Part II/Fast Food Nation

Hostel : Part II ホステル パート2

東欧を旅行するアメリカ男が拷問される一作目を、怖くないホラー映画と思ったが、「グラインドハウス」を見たら、それが間違った見方だったことが分かった。やはりタランティーノ制作のこの作品は、グラインドハウスの伝統を引き継いだ新しい感覚のBムービーなのだ。「グラインドハウス」でタランティーノが監督した「デス・プルーフ」同様、腸にくる居心地の悪さを感じた。

新作ではアメリカ女が拷問されるが、タイプは違えど馬鹿女ばっかりで、拷問される前から、すでに不快になる。たいがいの映画だったら、ビッチと思うだけだが、女である観客の自分がexploit(利用、搾取、悪用といった意味)されている気になる。「デス・プルーフ」同様、娯楽映画を見ていて通常感じることのない性差を感じさせられてしまう超マッチョな作品だ。

が、女たちへの拷問場面も、馬鹿女が泣きわめいていてうるさい、とは思うが、子供への殺人示唆に比べたら、ショッキングではない。ラスト近くで、男にとって非常にショッキングな拷問場面があるが、子供の場面の方が私には腸にきた。

レズっぽい場面や最後の落ちにもかかわらず、拷問場面に至る前から一番強く感じるのは、女性への憎悪だ。「デス・プルーフ」では女であることの居心地の悪さを感じた程度だが、ここでははっきりと女性嫌悪が見える。例えば、石井輝男の拷問物には、拷問そのものが好きというよりは、どこまで映像にできるかという挑戦と女体美への愛が感じられるが、ここでは一応筋はあっても、拷問のための不条理な拷問のように見える。カフカな東欧が舞台でもあり、イーライ・ロス監督とタランティーノは確信犯的に不条理を表現している、と見た。

舞台となるホステルのロビーでは、東欧吹き替え版らしい「パルプフィクション」のビデオが流れている。犠牲者の一人で、人付き合いの下手な女を「ウエルカム・ドールハウス」のヘザー・マタラーゾが演じている。

Fast Food Nation ファースト・フード・ネイション

去年公開されてこけた作品だが、それも納得の出来。ファーストフード業界の内幕を暴露し、ベストセラーとなった、同名のドキュメンタリー本の映画化だが、著者がリチャード・リンクレイター監督と脚本を共同執筆しているにもかかわらず、不可解な映画化。ドキュメンタリー映画として面白くする自信がなかったのか、物語形式にしているが、不器用な描き方で、登場人物もドラマも薄っぺら。反ファーストフードのメッセージは、一人に密着した「スーパーサイズ・ミー」の方が、はるかに強く伝わってくる。

ミッキーズという架空のファーストフードのマーケティング担当、同社の店舗で働く高校生(優等生タイプで、後に市民活動に目覚めてバイトを辞める、という、広く共感を得るために効果的とはいえない設定)、同社のハンバーガーを作る精肉工場で働く、密入国してきた若いメキシコ人たちを描くが、マーケティング担当の話は途中で消えてしまうし、非合法労働者の劣悪な労働&衛生条件を描くのに、安手のメロドラマは必要ないはず。イーサン・ホークロザンナ・アークエットの出演も無駄。