In-C

6月21日、Make Music NYというイベントが開催され、無料コンサートが600以上行われた。1982年にフランスでスタートしたFete de la Musiqueは、道路や歩道、公園などの公共スペースを一日だけ臨時のステージにしてしまう、年一回のイベントで、今では世界300都市以上で同じ日に野外演奏が行われているが、NYでは今年初の試みだ。

私は、グリニッチビレッジにあるコーネリアス・ストリートでの、In-Cの演奏に参加した。ミニマリズムの作曲家テリー・ライリーの1964年の作品だ。参加ミュージシャンは子供からお年寄りまで約100名で、編成はボイス、弦楽器、リード楽器、打楽器、トイピアノなど。

‘60年代のミニマリズムというと、どうもヒッピーくさくて、素面で聴くと眠くなりがちだが、実際の観客の前での演奏は、なかなか面白かった。53の短いパターンを順番に演奏していくだけの楽譜だが、各ミュージシャンは周りの演奏を聴きながら、それぞれのパターンをどれだけ繰り返すか、その場で決めていく。一拍ごとの速さは全員に共通だが、どこを一拍目にし、どこで演奏をやめるかも、周りより先走りすぎたり、遅れすぎたりしていなければ(プラスマイナス5パターン以内)各自の自由。みんなと一緒が楽しい人はユニゾンしてもいいし、周りの音を聴き、そのエネルギーを感じつつも、それとは違ったことをやりたい私のような演奏も、両方抱擁する、実人生のミクロコスモスのような作品だ。キーがCに統一されているので、混沌としすぎないのがポイント。

演奏は1時間10分ほど。もっと長くなるはずだったが、夕立が降ってきたので、短めだった。

 
ビデオは歌いながらデジカメで撮ったもの。

NYタイムズにも記事が出た。

http://www.nytimes.com/2007/06/23/arts/music/23make.html?_r=1&oref=slogin