ボアダムスを見れなかったよ

 
NYの前衛ドラマー74人がボアダムスに加わり、合計77人のフルキットのドラマーが共演する、77Boadrumというイベントが7月7日に開かれた。場所はブルックリン橋のブルックリン側にある公園で、ここ数年急速にお洒落な店やギャラリー、高級アパートができたダンボ地区に位置する。夏の無料イベントで、場所と企画の面白さ、タイムアウトにも載ったことが重なってか、終わりの見えない行列ができた(ボアダムスの去年のNYギグは満員でなかったので、彼らの人気だけでもなく、タイムアウトに載ることが集客を約束しないことも、私自身のギグ経験から分かっている。)演奏開始7時のところ、私と夫は5時に着いて並んだが、6時半ごろキャパオーバーで入れない、と主催者側からアナウンスがある。

列に並んでいるうちに、音楽仲間数人と会い、情報交換。キャパ4千人のところ1万人ほど集まったらしい。2時15分に来てもぎりぎりセーフだった、というのは友人の友人。
並んでいるのは圧倒的に20-30代の白人で、ハードコアなノイズファンよりお洒落で、アートロックを聞く層のように見受けられる。日本人(思ったより少ない)を含めたアジア系は15%くらいで、黒人とラテン系は殆ど目につかない。列に並びながら、マリファナ煙草を巻いていて、ポリスに罰金食らったガキもいた。バカだねぇ。トイレでやんなさい。

結局、イーストリバーに数百メートルほど隔てられ、音は聞こえるが姿は見えない、同じ公園の違うセクションに行った。全部の音が聞こえてくるわけではないので批評はできないが、聞こえた範囲だけで言うと、ブルックリンのプロスペクトパークでやっているような、パーカッショニストが輪になってセッションする、ドラミングサークルのロック版という感じで、大して感心しなかった。

警備の目を盗んで川沿いから浸入しようと試みた数人もいて、私たちのように河原の石におとなしく座っていた連中の喝采を浴びた。すぐポリスに捕まってしまったが。

友人たちにも会えたし、ハードコアなボアダムスファンではないので、まあ悪くない経験だったが、翌日になり、警察の存在が不愉快になってきた。アリーナのロックコンサートではなく、たかが日本のノイズバンド、しかも絶頂期ではないバンドの警備に、NY市民(+合法的に働いている外国人)が税金を払わなければならないんだ??日本を出てきたはずの私が、なんでボアダムスのために税金を払うんだ?教育とか、もっと有意義な目的があるのに。

警察側からすれば、一定人数以上の集会は、コンサートだろうが市民運動集会だろうが、群集管理の必要あり、と見なされるのだろうが、アンダーグラウンド的な性格のあるイベントに警官が多数いるのは、不愉快(タイムアウトに載る時点で、ほんとのアンダーグラウンドではないにしても)。プロモーターのずさんなマネージメントによる結果だろうが、宣伝だけしておいてキャパオーバーしたら警官を呼べばいい、という安易な考えには本当に腹が立つ。無料イベントとはいえ、メールによるRSVPが必要だったので、主催者側には初めからキャパオーバーがわかっていたはずだから、その時点で観客にノーというべきだった。

スェットショップ労働の代名詞のようなナイキと、それをしないことが売りのアメリカンアパレルが、スポンサーの一部として名を並べているのも笑わせる。警察力によって安全になったジュリアーニのNYと、ビジネスマンのブルームバーグ市長による企業の文化貢献(企業ロゴを文化施設やイベントでより多く見るようになった)政策の結晶とも言える不愉快な例だった。

ギグの画像はこちら。
http://poptartssucktoasted.blogspot.com/2007/07/boredoms-77-drums-empire-fulton-ferry.html

http://www.viceland.com/77BOADRUM/