Knocked Up 


40歳の童貞男」のジャド・アパトー監督の新作は面白い!! TVコメディのように感じて、私は「童貞」のビデオを最後まで見れなかったが、新作は今年のハリウッド映画の中で今のところベスト1だ。

ミスマッチな男女の間に起こった予想外の妊娠を題材に「童貞」と違い、独身オタク系男だけでなく美人キャリアウーマン、その姉夫婦と視野を広げ、男と女、独身と既婚者の違いなどが鋭く描かれて大爆笑の連続。脚本に突っ込みどころがないわけではないが、それぞれ共感が持てるキャラクターの違いから来るギャグがあまりにもツボにはまっている(少なくともアメリカで生活している者にとっては)ので気にならず、最後には泣かされる。ありそうでない設定を、感情移入できるフィールグッドな話に仕立て上げた、良く描かれ演じられた作品。

アリソン(キャサリン・ヘイグル)はLAのTV局で働く、若くて美人のキャリアウーマン。昇進を祝い、クラブで姉と祝杯を挙げ、そこで知り合ったベン(セス・ローゲン)と、酔った勢いでベッドに。翌朝、アリソンはベンが無職の一文無しであることを発見し、昨夜のことは忘れて普通に生活を送るが、2ヵ月後、妊娠していることが分かる。。。昇進をふいにしたくないアリソンと、ティーンエイジャーのように友達とハイになってつるんでいたいベン。できちゃった婚なんて、お互いに思いもしない相手との、予想外の事態を認めるまでの葛藤。アリソンは子供を産むことを決意し、やがてお互いを知っていくうちに、衝突しながらも憎からず思うようになる。。。

産婦人科や妊娠中のセックス、男と女の違いによる喧嘩(独身者&夫婦)や女が年取っていくこと、などに関して、ポイントをおさえた絶妙なギャグの嵐。アリソン&ベンと、可愛い二人の娘を持ち、表面的にはうまくいっているようでも、内面はかみ合っていないアリソンの姉夫婦の結婚生活を並行して描き、物語に深みと奥行きを与えている。同じことでも人によって反応が違うのを間髪入れず示したり、素早いギャグのタイミングも最高だ。ちなみに、作品に出てくるマタニティ本「What to expect When you’re expecting」は、内容を信じるかどうかは別として、アメリカの妊婦が必ず読む、バイブル的な存在の本。ベンがこの本を読むことがアリソンの妊娠に関してのコミットメントの一つとなっている、というギャグ。