梶芽衣子特集


ジャパンソサエティで開催中の「Mad, Bad… & Dangerous to Know」シリーズでは、若尾文子梶芽衣子岡田茉莉子の3人を特集している。3日は復活祭の週末で、子供がいる家ではイースターエッグ探しをするが、私ら夫婦は二人のアイドルである梶芽衣子主演の2本を見た。イースターのウサギの代わりに、血が飛び散る!ニューヨークだけでなく近郊のフィラデルフィアから来て、コアな知識を披露している白人のおっさんもいた。
エクスプロイテーション映画という言葉も知らなかった20年ほど前に、テレビ東京での平日昼間か深夜の放送に衝撃を受けて以来、ずっと大画面で見たいと思ってきた「女囚701号さそり」。しばらく見ていなかったので、映画ってこんなに面白いんだ!と新鮮な興奮のしどうしだった。大画面で見るさそりは、梶芽衣子が一番美しく見えると思っていた修羅雪姫よりもきれいだった。この世ならぬ役柄の「修羅雪姫」は白塗りが目立つ。「さそり」はビデオで見るよりもユーモラスで、興奮しているか笑っているか、さそりとあまりにも存在感のある脇役たちに吸い込まれっぱなしだった。「キル・ビル」の元ネタになった「修羅雪姫」は満席で、梶芽衣子が首吊り死体の胴をたたっきるところで、拍手が沸いた。鏡の裏にいた岡田英次の悪役が逃げる場面は、種明かしがばれたオズの魔法使いのように見えるので、製作者が意図しない笑いをとっていた。「修羅雪姫」も面白い映画だが、同じ日に続けて見て、「さそり」が傑作であることを再確認した。「さそり」は、アート系映画または一味違った娯楽作品を目指して、芝居風の回り舞台などの前衛的な味付けや反体制的メッセージが随所に見られるが、それらがユーモアと共にエンターテイメントとして見事に消化されており、伊藤俊也監督の真の頭のよさを感じる。「修羅雪姫」にも前衛的な技法や反体制メッセージは共通しているが、逆に、エンターテイメントになりきれないアート系映画のように感じた。監督だけでなく、東映東宝の違いもあるだろう。どちらにしても、アート系日本映画の上映が多いジャパンソサエティでのエクスプロイテーション映画の上映は大歓迎。
http://www.japansociety.org/mad_bad__dangerous_to_know