アイアンマン3

それほど期待してなかったので、その割には楽しめたが、これが本シリーズにとってもダウニーJrにとっても最後のアイアンマンとなってほしいことには変わりない。ダウニーJrは、もはや演技的な挑戦をそれほど必要としなくなった役柄とその成功に甘やかされているように見える。彼のファンとしては、スマートなジョークを「チャーミング」にしゃべる以上の演技が要求される役に戻ってほしいところだ。

作品そのものは、子供や女性、1ダースほどのアイアンマン・スーツなどを必死で使った自己パロディになってしまった。一貫性がなく、Bムービー・テイストを無理に取り入れようとした役員会議の結果のようだ。言い換えれば、作品の悪役である腐敗した大企業は、すなわち制作スタジオの姿である。ハリウッドが大企業であることは当然だが、それが見え見えでは、一般庶民のファンタジーとしては機能しない。ビンラディンもどきの悪役の政治的”背景”もあまりにも表面的で、不愉快なほどエクスプロイテーション映画的になってしまっている。