Thank You For Smoking サンキュー・スモーキング


アーロン・エッカート演じるタバコ業界ロビイストは、嫌煙の風潮が広まる中、人殺しと罵しられながらも、詭弁の天才とさわやかなルックスを武器に奮闘する。同時に、皆の嫌われ者である自分の仕事ぶりを息子に見せながら、良き父であろうとも努力する。良い面悪い面を併せ持つ主人公の人間らしさに非常に好感が持て、楽しんで見たが、感想を書こうと思うと何も残らないのはなぜだろう。

企業文化全盛のブッシュ政権下での情報操作とPC、個人の自由、などの重要な問題を、洗練されたコメディに仕立てているが、煙にまかれたように言うべき言葉が出てこない。爆笑は殆どなく中ぐらいの笑いで、私の趣味としては、おバカな笑いがもっと前面に出ているほうが、シリアスさもかえって印象に残る。

エッカート始め、小学生の息子役のキャメロン・ブライト、ハリウッドのスーパー・エージェント役ロブ・ロウ、タバコ・ロビーの大ボス役ロバート・デュバル嫌煙急進派リベラル議員ウィリアム・H・メイシーなどの脇役の演技も優れていて楽しい(ベッドでスクープを物にする記者役のケイティ・ホームズを除く)。「ゴーストバスターズ」のアイバン・ライトマンの息子で、これが長編デビュー作のジェイソン・ライトマン監督。