映画

アイアンマン3

それほど期待してなかったので、その割には楽しめたが、これが本シリーズにとってもダウニーJrにとっても最後のアイアンマンとなってほしいことには変わりない。ダウニーJrは、もはや演技的な挑戦をそれほど必要としなくなった役柄とその成功に甘やかされて…

華麗なるギャッビー

「華麗なるギャッビー」は華麗かもしれないが、グレートではなかった。とすると。邦題のほうが本質を突いているのかな。でも、現代の皮肉はなくなるな。ともかく、ギャッビーは、内面の空虚さを埋めるために、世界の終わりみたいに毎日パーティーしてるんだ…

2012年ベスト

1.Amourアムール パリに住む元音楽教師の老夫妻を描く、ミヒャエル・ハネケ作品の中で最も普通(といってもハネケ作品だけあって見やすくはない)で感動的、個人的な作品。脳卒中に倒れた妻を自宅で看護する夫と聞いただけではあまり食指が動かなくても、夫…

「ダークナイト ライジング」と銃規制

コロラド州オーロラの映画館でプレミア上映中に乱射事件を起こしたジェームズ・ホームズは、この傑作を最後まで見ることがなかった。監獄内でもおそらく一生見ることはないだろう。そのこと自体がすでに、彼が犯した罪に対する罰の一部なのかもしれない。 ク…

マカロニ・ウエスタン

4月に一時帰国した際、共通の友人のいるS氏と初めて話し、マカロニ・ウエスタンの話で盛り上がった。ニューヨークに戻ってすぐ、行きつけの名画座フィルム・フォーラムからマカロニ特集のチラシが届いた。レオーネの「荒野の用心棒」シリーズと「ウエスタン…

アベンジャーズThe Avengers

神だってケンカをする。アイアンマンやキャプテン・アメリカ、ハルクなどマーベルコミックのスーパーヒーローたちが、雷神ソーの義弟ロキによる地球侵略を阻止するために結集するという話だが、個性も生まれた時代も異なるヒーローたちが一つになるのは容易…

Miss Bala

アメリカとの国境にあるメキシコ・ティフアナに住むスレンダーな美少女ラウラは、憧れのミス・バハ・カリフォルニアの座を獲得する。しかし、間もなく麻薬密売組織との関与の疑いで逮捕され、そのタイトルを剥奪される。このありえないような設定のスリラー…

2011年ベスト

1.ハリー・ポッターと死の秘宝Part2 ハリポタ映画の中で一番出来がよく、動く絵本でなく映画として大いに楽しめる、シリーズ最後にふさわしい優れた作品。アラン・リックマンやレイフ・ファインズ、マギー・スミスなどの名優たちに、やっと見せ場をきちんと…

ウディ・アレン新作, ジョージ・ハリスン, バーナード・ハーマン特集

Midnight In Paris ウディ・アレンの新作は、1920年代のパリにあこがれる作家が当時にタイムスリップして、ヘミングウェイやフィッツジェラルドなどの有名文化人に会う話。ウディ・アレンの芸術やアートシーンへの接し方は基本的にミーハーで表層的だ。ニュ…

「宇宙戦艦ヤマト」実写版/日本沈没(1973)

「SPACE BATTLESHIP ヤマト」 聞きしに勝るひどさだった。2時間強のうちの1時間はなんとか我慢したものの、ついに耐えきれず、これを見なくてはならないようなほどの悪事をいつ私はしでかしたのだろうかと思いつつ、泣きながら寝てしまった。私を含めて現在4…

「ハリー・ポッターと死の秘宝 PART2」

ハリポタ映画の中で一番出来がよく、動く絵本でなく映画として大いに楽しめる、シリーズ最後にふさわしい優れた作品である。長くもったりした、いかにもクライマックス前の布石といったPART1と異なり、速いテンポで次々と多くの出来事が起こり、アクションも…

Cave of forgotten dreams/Tree of Life/Buck

Cave of forgotten dreams ヴェルナー・ヘルツォークが、世界最古の洞窟壁画であるフランスのショーヴェ洞窟を3Dで撮ったドキュメンタリー映画。太古の馬やマンモス、ライオンの動きを鮮やかにとらえた壁画の映像は、洞窟の凹凸を活かした3Dで、思わず手を…

「恐怖の岬(Cape Fear)」,映画と神経科学,「71フラグメンツ」,「東京物語」

デ・ニーロが主演した「ケープ・フィアー」のオリジナルである、62年制作の「恐怖の岬(Cape Fear)」を見る。何度見ても怖い映画だ。レイプ犯マックス・ケイディ(ロバート・ミッチャム)が出所するが、有罪となったのは弁護士サム・ボーデン(グレゴリー・…

2010年ベスト

2010年は一見、映画不作の年で、「キック・アス」が4月、「トイ・ストーリー3」が6月に公開されて以降、少なくともニューヨークで公開されたものに関しては、ハリウッド映画に限らずインディー系や外国映画にも、勢いのある作品やぜひ見たいと思う作品が…

Exit Through the Gift Shop/Megamind

Exit Through the Gift Shop イギリスのグラフィティアーティスト,バンクシーが監督した,本当に事実かどうか話題になっているドキュメンタリー。バンクシーは正体不明のアーティストで,映画の中ではフードで顔を隠し,音声処理で声を変えて登場する。LAで…

英国王のスピーチ/My Dog Tulip

英国王のスピーチKing’s Speech 現エリザベス女王の父ジョージ6世(コリン・ファース)は、父の国王と兄からのプレッシャーでどもりになったが、言語療法士ライオネル(ジェフリー・ラッシュ)の導きによりラジオ演説を成功させて自信を持ち、立派な国王にな…

「Throne of Blood」

黒澤の「蜘蛛の巣城」を,前衛演出家のピン・チョンが舞台化し,BAMで11月10〜13日に上演された。休憩なしの1時間半強で,映画をほぼそのまま舞台に移しているが,舞台はカットできないので,不必要な動きが追加されてテンポが悪く,話の筋すらぼやけてしまう…

「ハリー・ポッターと死の秘宝 PART1」

私は原作のファンだが、2時間30分は長すぎる。原作に忠実なあまりにテンポが遅く,時計を何回か見てしまった。最後を2部作にしたのは金儲け主義としか思えない。ハリー、ロン、ハーマイオニーの3人が暗い森をさまようのに、大部分の時間が費やされるが、ホグ…

The Social Network ザ・ソーシャル・ネットワーク

フェイスブックをハーバード大在籍中に立ち上げ、史上最年少の億万長者になったマーク・ザッカーバーグを主人公に、同サイトの設立経過を描く話題の作品で、監督はデビッド・フィンチャー。殆ど友達のいない天才的なコンピュータおたくが、世界最大のSNSを作…

インセプションInception

続編でないこの夏一番の期待作は見掛け倒し。 夢の中の夢,またその夢に降りていっても,風景が変化するだけで感情(あるとすれば)は変わらないので,降りていく意味がない。見掛けだけ忙しく複雑に見せているが,中身はそれほどない。クリストファー・ノーラ…

トイ・ストーリー3

ウッディとバズは私たちの心の中にずっといる。すれた私にガラでもないベタな思いを抱かせる,長年愛されてきたシリーズの最後に相応しい傑作だ。おそらく今年最高の作品になるのではないだろうか。見終わって久々に心が洗われるような気持ちを味わったが,…

鬼の棲む館

新珠三千代が夢に出てきそうなほどすごい!勝新太郎、高峰秀子、佐藤慶の計4人が主演だが、この濃い面々を余裕でかすませている。とはいっても、それぞれに演技が巧みな人々の影が薄いということではなく、新珠三千代が尋常でなさすぎるのだ。ジャパンソサエ…

アイアンマン2

1作目は劇場で2回見たほど大好きだったので、とても期待していたが、大きくがっかりした。ダウニーJrのファンとしては言いづらいが、1作目で炸裂していた彼の魅力さえ減少している。展開に無理のある物語をようやくつなぎとめるほどには魅力的だが、作品全…

[演劇]アラン・リックマン・トーク@BAM

アラン・リックマンが演出するストリンドベリの戯曲「Creditors(債鬼)」がBAMで好評上演中である。ニューヨークタイムズでは「外科手術のように正確な演出と完璧な演技による、スリリングな新解釈」とべた褒め。公演の一環であるトークに4月27日夜行ってきた。…

Kick Ass キック・アス

ケツに蹴りを入れられたほどインパクトがあり、断然イケてるという意味の題名通りの映画である。その一番の理由は、「キック・アス」と名乗る、スーパーパワーを持たないスーパーヒーローの主人公ではなく、「ヒットガール」という、復讐の念に燃える父親(…

梶芽衣子特集

ジャパンソサエティで開催中の「Mad, Bad… & Dangerous to Know」シリーズでは、若尾文子、梶芽衣子、岡田茉莉子の3人を特集している。3日は復活祭の週末で、子供がいる家ではイースターエッグ探しをするが、私ら夫婦は二人のアイドルである梶芽衣子主演の2本…

Hot Tub Time Machineホットタブ・タイムマシーン

「マルコヴィッチの穴」「ハイ・フィデリティ」以来久々のジョン・キューザック主演の快作。現実に失望した40がらみの男友達3人が、80年代に「人生最高の週末を過ごした」スキーリゾートを訪れるが、さびれている。せめてパーティー気分を味わおうと、酒を飲み…

Alice in Wonderland アリス・イン・ワンダーランド

ティム・バートンが、「不思議の国のアリス」と「鏡の国のアリス」を元に3D映画を作った。 面白い題材がこんなにつまらなくなるなんて犯罪だ!さしずめ、「Alice in a Land without Wonder(不思議のないアリス)」といったところ。 原作のアリスファンにとっ…

イルカとトヨタ、真田広之

和歌山県の太地町行われているイルカ漁を告発したドキュメンタリー映画「ザ・コーヴ」がアカデミー賞を受賞しました。以前の日記にその感想を書いて、コメントも幾つかいただきましたが、そのままになっていたので、これを機会にその後気が付いたことなどを…

2009年ベスト

1.Katyn カチン カチンの森の虐殺とソ連によるその揉み消しを描いた、アンジェイ・ワイダ渾身の力作。 http://d.hatena.ne.jp/djmomo/20090424#12405340302.The White Ribbon 2.Broken Embraces ミヒャエル・ハネケとペドロ・アルモドバルという、物語の語り…